最新記事

エネルギー

世界情勢と経済の今が分かる、教養としての「エネルギー」が学べる3冊

2021年11月30日(火)18時15分
flier編集部

石油を通じて世界が見える

211127fl_edi03.jpg

『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?』
 著者:岩瀬昇
 出版社:文藝春秋
 flierで要約を読む

続いてご紹介するのは『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?』です。温室効果ガスの排出源となる石油などの化石燃料は、利用の抑制がかつてないほど求められています。一方、足元では原油価格が上昇傾向にあり、電気や食品の値上げにつながるなど、依然として私たちの生活に大きな影響を与えています。

石油資源はいずれ枯渇する――。そのような言葉をどこかで聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。そうしたいわゆる「ピークオイル」という通説が長年、まことしやかに伝えられてきました。一方、右肩上がりと思われた石油の需要が減退して限界を迎える「ピークデマンド」論も登場するなど、石油の需要と供給は、人類の進歩、地球の未来にとって長年のテーマとなってきました。

しかし、そもそも石油とはなんでしょうか。ガソリンや灯油、プラスチックといった石油製品は当然見たことがあっても、そのおおもとの石油それ自体は見たことがない人は少なくないでしょう。本書はそうした石油について理解を深めるのに役立ちます。

タイトルに「誰が決める」とある通り、埋蔵量は石油の掘削技術の進歩とともに変化します。本書は 知っていそうで知らなかった石油の基本について、資源量と埋蔵量の違いや定義、原油が戦略物資となった時代を経て先物取引で売買されるコモディティ商品へと変遷してきた経緯などが、わかりやすくまとめられています。

石油について学ぶことは、日本のエネルギー事情や電源構成の仕組みを知ることにつながり、世界の地政学、もっと身近なところでは食品の値上がりの背景を知ることにも通じています。

本書は、石油を主眼とした本でありながら、サブタイトルで銘打っている、まさに「エネルギー情報学入門」です。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル小幅高、米利下げ観測で5週ぶり安

ビジネス

米国株式市場=ほぼ横ばい、FRBの利下げ期待が支え

ワールド

ウクライナ外相「宥和でなく真の平和を」、ミュンヘン

ワールド

イスラエル、欧州歌謡祭「ユーロビジョン」参加決定 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させられる「イスラエルの良心」と「世界で最も倫理的な軍隊」への憂い
  • 3
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 4
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 5
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 6
    「ロシアは欧州との戦いに備えている」――プーチン発…
  • 7
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 8
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 9
    【トランプ和平案】プーチンに「免罪符」、ウクライ…
  • 10
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 4
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 7
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 8
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 9
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 10
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中