会社で評価される「数字に強い」という能力の、意外に低いハードル
今すぐ数字で語れるようになる3つの方法
井手: 数字に弱い人、つまり数字で語れない人は、どのようなことを意識するといいでしょうか。3つのポイントにまとめて教えてください。
深沢: 3つのポイントですか。難しいですね......。
井手: さっそく数字で語ってみました(笑)。
深沢: さすが、完璧です(笑)。
1つ目は、「数字を『言葉』と認識すること」。「ガツンと変わった」「ゴリゴリやりました」を「去年100万円だった売上が120万円になりました」と言い換えてみましょう。これなら、どんなに数字に弱い人でもすぐにできます。
井手: 言い換えですか。これなら簡単にできそうです。
深沢: 2つ目は、「数字を使って比較すること」。「顧客満足度90%」というデータに対して、「そうなんだ」ではなく、「昨年は?」「他社は?」と比較する発想をもってほしい。そうすれば、「ここと比べてこうなので、このデータはこういう意味を持ちます」と数字で話せるようになります。
井手: 比較しないと、「顧客満足度90%か。いいんじゃない?」で終わってしまいますもんね。
深沢: 3つ目は、「分解していくこと」。売上という数字は、「客単価×客数」などと分解できますし、「客数」もさらに細かく分けられますよね。そうすると、「全体なら顧客満足度90%だけど、年齢別に分けてくるとどうだろう?」といった発想につながります。
井手: 「分析しよう」と考えるとハードルが上がりますが、分解すれば、自然と分析を始められそうです!
論理的に考えるための魔法の3フレーズ
井手: 深沢さんのご著書『そもそも「論理的に考える」ってどうすればできるの?』は、フライヤーでも多くのビジネスパーソンに支持されています。主人公は、広告代理店で働くサオリ。サオリとたまたま知り合った大学院生の優斗がサオリの悩みに数学的に答えていく――というストーリー形式で、たいへんおもしろい一冊でした。
タイトルにある「論理的に考える」とは、そもそもどういうことなのでしょうか?
深沢: 一言で答えるなら、「線を使って考えること」です。
論理的な話は、「Aです」「だからBです」「さらにCです」「ゆえにDです」と、A、B、C、Dの要素がすべて線でつながっている。一方、論理的でない話は、「Aです」「そういえばBでもあります」「言い忘れていましたが、Cという要素もあります」と、どれもつながっていない。
二者の違いは、「かたまりが線でつながっているかどうか」です。論理的に考えるには、複数あるかたまりを線でつなげるという発想を持ちましょう。