最新記事

起業

起業の成功に必要なもの...資金・コネ・知識・経験より大事な4箇条

Starting Your Own Business

2021年9月24日(金)18時01分
キャラ・ゴールディン(ヒント創業者・CEO)
起業(イメージ画像)

アメリカでは起業がブームとなり20年には前年比25%増。だが新会社の約45%が設立後5年以内に倒産するとされる C.J. BURTON-CORBIS/GETTY IMAGES

<私の飲料ベンチャーを成功に導いたのは資金・ツテでも知識・経験でもなかった。創業者が押さえるべき4つのポイント>

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)は多くの人を苦境に追いやる半面、起業を促すきっかけともなった。ブルームバーグが伝えた米税務当局・内国歳入庁(IRS)の統計を見ると、2020年には会社設立に必要な法人納税番号の登録申請者が前年比25%近く増え、430万人に達している。

とはいえ、ただの思い付きで起業しても成功の保証はない。米労働統計局のデータなどから、パンデミックの最中で設立された企業の約20%は設立後2年以内に倒産し、さらに設立後5年以内には約45%が淘汰されると予測できる。「約束の地」に到達するには何が必要なのか。創業者に求められる資質を見てみよう。

好奇心

私が会ってきたほぼ全ての起業家に共通するのは好奇心旺盛なこと。目の前の問題を解決しようとすることが起業の動機になるが、解決策は初めから分かっているわけではない。起業家はどこまでも答えを探し求める。

AOLの技術部門に勤務していた私が、そろそろ新しいキャリアを開拓したいと考え始めたのは01年のこと。当時たまたま体調を崩していたこともあって、もっと体に良いドリンクが欲しいと思った。

ある日、愛飲していたダイエットコークの缶に記載された表示をじっとにらんでいるうちに、こんなにいろんな成分が入った飲み物はもうやめにして、ただの水を飲もうと思い立った。でも、ただの水は味気ない。そこで果物を細かく刻んで風味付けにちょっとだけグラスに入れてみた。すると、あーら不思議、水がおいしく感じられる。

好奇心が頭をもたげたのはそこからだ。甘味料や保存料ゼロのおいしい水が販売されていないのはなぜだろう。ダイエットコークのように「ヘルシー」をうたったドリンクでさえ甘味料が使われているのはなぜ?

素朴な疑問がやがて新製品の開発に結び付き、1年半後、私が開発したフレーバーウオーターの「ヒント」が地元サンフランシスコの自然食品店の棚にお目見えした。

右も左も分からない業界に飛び込んだので、数々の障壁にぶつかったが、好奇心がそれらを乗り越えさせた。既に飽和状態の飲料市場に新たなカテゴリーを生み出せたのも好奇心のたまものだ。

不安を克服する

会社を起こすときは誰でも自分の経験のなさに不安を抱く。私の場合も05年にヒントを設立した時点では飲料業界の知識・経験はゼロ。これから起業する人や新興企業の経営者と仕事をしてきた経験は豊富にあったが、自分が起業するのは初めてだった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米

ワールド

アングル:バングラ繊維産業、国内リサイクル能力向上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 7
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 8
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 9
    ビザ取消1300人超──アメリカで留学生の「粛清」進む
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中