最新記事

経営

取引先から切られる?  SDGsが中小企業にとって重要になる理由

2021年9月9日(木)11時30分
矢萩大輔 ※経営ノウハウの泉より転載

CSR調達を意識しないと仕事を切られる?

SDGsは大企業ばかりではなく、中小企業のビジネスにも関係があります。大企業ではすでに全体のサプライチェーンを意識して、CSR(Corporate Social Responsibility)調達を積極的に行っているのが現状です。


「CSR調達は、取引先を選ぶ際の基準として価格や機能だけでなく、CSRの状況も評価に含めるという調達方法のことです。環境や社会への影響力がある大企業は、機関投資家やNGO(非政府組織)などからESG問題への取り組みをチェックされる立場にあります」

『やるべきことがすぐわかる! SDGs実践入門 ~中小企業経営者&担当者が知っておくべき85の原則』より

世の中には、森林破壊をした企業の製品の不買運動が起こったり、環境を壊している企業をマスコミが追及したりして、企業の信用を失墜させるような事件があります。

だからこそ、大企業が仕事を依頼するときには、下請けである中小企業がコンプライアンスを遵守しているかチェックし、基準に合わないところは、サプライチェーンから外れてもらうということも起こっています。中小企業にとって、CSR調達への適合力を高めることは、SDGs時代の生存戦略と言えるのです。

SDGsはビジネスの棚卸を助けてくれるツールにもなる

企業は毎年、決算によって自社の現状を把握しています。しかし、ESG問題がビジネスの成長の制約要因となっている現在では、企業の棚卸はもはや"経済性の棚卸"だけでは不十分です。

今後、企業はESG問題の対応を想定した社会性の棚卸をする必要があります。SDGsは17の目標を通じて、網羅的にESG問題を提示しているので、ツールとして次のような使い方ができます。


①SDGsの各目標を参考に、自社のビジネスに影響を与えるESG問題を知る
②自社の活動をSDGsの枠組みでチェックし、実践できている目標と実践できていない目標を整理する
③整理した結果をビジネスの改善に活用する

『やるべきことがすぐわかる! SDGs実践入門 ~中小企業経営者&担当者が知っておくべき85の原則』より

自社の商品やサービスを棚卸しすることは、持続可能な会社経営にも役立っていくことでしょう。SDGs経営を始める第一歩として、17の目標をツールとして用い、「どのような改善点や改革の視点があるのか」と考えることから始めてみませんか?

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

MAGA派グリーン議員、来年1月の辞職表明 トラン

ワールド

アングル:動き出したECB次期執行部人事、多様性欠

ビジネス

米国株式市場=ダウ493ドル高、12月利下げ観測で

ビジネス

NY外為市場=円急伸、財務相が介入示唆 NY連銀総
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワイトカラー」は大量に人余り...変わる日本の職業選択
  • 4
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 5
    中国の新空母「福建」の力は如何ほどか? 空母3隻体…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 8
    ロシアのウクライナ侵攻、「地球規模の被害」を生ん…
  • 9
    「裸同然」と批判も...レギンス注意でジム退館処分、…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中