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食米国のスーパーから肉が消える? 食肉大手タイソン・フーズ、新型コロナで工場閉鎖相次ぐ
米食肉加工最大手タイソン・フーズは、国内のスーパーマーケットなどの店頭に並ぶ牛肉、豚肉、鶏肉などの精肉が不足する可能性があると警告した。ワシントン州バーバンクで2013年12月撮影(2020年 ロイター/Ross Courtney)
米食肉加工最大手タイソン・フーズは、新型コロナウイルスの感染拡大が食肉処理施設の従業員の間で広まり、施設が稼働停止を余儀なくされていることから、今後、国内のスーパーマーケットなどの店頭に並ぶ牛肉、豚肉、鶏肉などの精肉が不足する可能性があると警告した。
タイソン・フーズのジョン・タイソン会長は、新型ウイルス感染拡大で食肉処理施設の稼働が停止される中、農家が家畜を精肉にして市場に届ける手段は少なくなっているとし、「米国の食料供給網は機能を失いつつある」と述べた。
タイソン・フーズは先週、国内最大の豚肉処理施設を含む2カ所の豚肉処理施設のほか、牛肉処理施設1カ所の閉鎖を発表。ブラジルJBSの米国子会社[JBS.UL] やスミスフィールド・フーズなど他の大手食肉業者も、従業員の間の新型ウイルス感染拡大を受け処理施設の閉鎖を余儀なくされている。
米国の食肉処理業界の労働組合によると、業界で働く人の感染者数はこれまでのところ5000人、感染による死者数は13人。
現時点では閉鎖された食肉処理施設の再開のめどは立っておらず、タイソン氏は「施設を再稼働できるまでタイソン・フーズの製品供給は限定される」とし、「農家は家畜を処理できないため、精肉不足は深刻な食品廃棄の問題でもある」と懸念を示した。
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