最新記事

危機管理

新型コロナウイルス、感染ショックの後に日本を襲う4つの最悪シナリオ

2020年2月28日(金)17時30分
岩崎博充(経済ジャーナリスト) *東洋経済オンラインからの転載

新型コロナウイルスの感染拡大が長引いた場合、最悪のシナリオとは…… 写真は東京駅前に設置された東京五輪のカウントダウン時計。REUTERS/Athit Perawongmetha

<中国から広がった新型コロナウイルスの感染拡大は、日本の危機管理能力が問われる事態に──>

ニューヨークダウ平均が2日連続で1000ドル前後の下げを記録するなど、いよいよ新型コロナウイルスによる感染拡大の影響が経済にも波及してきた。加えて、韓国やイタリアでも感染拡大が起きており、中国・武漢から始まった今回の新型コロナウイルス感染拡大の恐怖を、世界中が認識し始めたと言っていいだろう。

一方で、日本の危機管理はその甘さが際立っている。日本への渡航自粛を求める国も現れ、7月に行われる東京五輪の代替地としてロンドンが名乗りを上げるなど、今や日本の経済を根底から覆しかねないリスクも顕在化してきている。

そんな中でささやかれ始めてきたのが、新型コロナウイルスによる経済への影響の深刻さだ。リーマンショック級とも、東日本大震災級とも言われる景気後退リスクに対して、日本政府は対応できるのか。そしてまた、われわれ国民もどんな準備をしていけばいいのか。現実には起こってほしくないが、新型コロナウイルス禍によって起こりうる最悪シナリオは4つある。

失敗した安倍政権の危機管理! 日本が第2の"武漢"に!?

【シナリオ①】
首都圏マンションはバブル超え? 東京五輪中止で"五輪バブル"の崩壊

2020年は、さまざまな意味で日本経済にとっては重要な1年である。そのハイライトとも言えるのが7月から開催される東京オリンピックだ。その東京五輪の開催が、今回の新型コロナウイルス感染拡大によって中止に追い込まれる可能性が出てきている。

感染爆発の度合いにもよるが、すでにアメリカでは日本に対して渡航注意のレベルを1つ上のレベルに引き上げており、イスラエルでは日本と韓国からの渡航者を入国拒否とした。

それに対して、日本では2月24日現在、外務省の対応は中国の湖北省全域、浙江省恩州市に対しては「渡航中止勧告」となっているが、それ以外の中国は「不要不急の渡航中止」となっている。

外国人に対しての入国規制は、日本の場合かなり曖昧で外務省がきちんとアナウンスしているわけではない。春節の前に中国の新型コロナウイルス感染拡大が明らかになっていたにもかかわらず、外務省は何も手を打たずに莫大な数の中国人観光客の来日を認めた。

クルーズ船の受け入れに対しても、日本人乗客が多い、日本人乗組員も100人いるといった事情を鑑みて入港を認め、検疫という名目で14日間留め置き、その間に600人を超す感染者をクルーズ船の中で発生させてしまった。

問題は、この状況次第で日本国内に感染爆発が起こるかどうかだが、日本が数千人単位の感染者を出した場合には、世界各国が日本への渡航を控えるようになり、最悪7月の東京オリンピックの開催に間に合うぎりぎりの期限とも言われる5月までに、現在の感染拡大が収まるかどうかが問われることになる。

イギリス・ロンドン市は東京開催が中止になった場合、「代替地」として立候補すると表明しており、その可能性はゼロではない状況だ。

仮に東京五輪が中止となれば、どの程度の経済的損失が発生するか。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

都区部CPI、12月は+2.3%に大幅鈍化 エネル

ワールド

米、ナイジェリアでイスラム過激派空爆 「キリスト教

ビジネス

鉱工業生産11月は2.6%低下、自動車・リチウム電

ビジネス

日経平均は続伸で寄り付く、個人の買いが支え 主力株
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 5
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 8
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 5
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 6
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 7
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 10
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 8
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中