あの「80対20の法則」が90対10、99対1になる時代へ
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<「80対20の法則」の本が世に出て20年。36の言語に翻訳され、数百万人に読まれてきたロングセラーだが、このたび「増補リニューアル版」が刊行された。時代は変わったが、法則はどう変わったか>
「利益の80%は顧客の20%がもたらす」「仕事の成果の80%は、費やした時間の20%から生まれる」――これが世界の"真理"だという。この「80対20の法則」(あるいは「パレートの法則」とも)について、聞いたことがある人は多いだろう。
何しろ、起業家、投資家、経営コンサルタントであるリチャード・コッチによる『人生を変える80対20の法則』の初版が刊行されてから、既に20年の月日が流れている。この間、36の言語に翻訳され、世界で数百万人に読まれてきた。この法則を人生やビジネスに応用し、成功を手にするためのいわば手引書だ。
これまでも『新版 人生を変える80対20の法則』が出版されるなど、時代に合わせた改訂がなされてきたが、このたび、20周年を記念した『増補リニューアル版 人生を変える80対20の法則』(リチャード・コッチ著、仁平和夫・高遠裕子翻訳、CCCメディアハウス)が刊行された。インターネットやSNSの勃興により、世界は大きくその姿を変えているが、今でもその真理は「80対20」なのだろうか。
「最小限の努力で最大限の成果を上げる!」と謳う世界的ロングセラーだが、著者のコッチによれば、この法則が通用しない時代になったということは全くない。むしろ「80対20の法則は進化している」というのだ。コッチはこう書く。
「過去100年で認識されるようになった80対20のパターンは、70対30から90対10まで幅はあるが、驚くほど一貫性があった。だが最近では、90対10、さらには99対1への移行が急速に進んでいる」
全20章から成るこの増補リニューアル版は、「80対20の法則」の概観から始まるが、うち4章は新たに加えられたもの。ここでは本書から一部を抜粋し、3回にわたって掲載する。まずは増補箇所の説明を含む「二〇周年記念版への序文」から。
八〇対二〇の法則は進化している――この本だけでなく、法則自体が。この二、三〇年で、ビジネスも、社会も、個人の生活も、信じられないほど大きく変わった。そして、八〇対二〇の法則がどんな仕組みなのか、なぜこの法則が有効なのかについての理解も変わってきた。それが、この版で付け加える必要があった点である。
八〇対二〇の法則は、かつてないほどあちこちで目につくようになった。そしてその重要性を増している。以前はこの法則を活用した人が圧倒的に有利になったが、今後は基本的なツール、成功や幸福を望む人には欠かせないツールになるだろう。
そもそも、この二、三〇年に何が起きたのか。要約すると、三つのことが起きた。
(1)少なくとも成長力と収益力で、トップダウン型の大企業がネットワーク型企業に敗れた。アップルやグーグル、フェイスブック、ウーバー、アマゾン、イーベイ、ベットフェアといったネットワーク型新興企業の成長が著しい。こうしたネットワーク型企業が社会を席巻しつつあるため、八〇対二〇現象が至るところで目立つようになっている。