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カメラの世界に大変革期到来 「一眼レフ」の終焉と「ミラーレス」の台頭 

2018年9月3日(月)15時00分
内村コースケ(フォトジャーナリスト)

筆者の現在の主力機『ソニーα9』(フルサイズミラーレス・2017年発売)と、新聞記者時代に使っていた『ニコンF3P』(1982年発売/35mm一眼レフ『ニコンF3』=1980年発売=の報道仕様)。F3の中央に見えるミラーがα9にはない。F3は大型化する前のマニュアルフォーカスフィルム一眼レフで、α9と並べることで、ミラーレスが初期の一眼レフのサイズに先祖帰りしたことが分かる

<プロ・ハイアマチュア向けのハイエンドカメラの世界に大きな転換点が訪れている。先月、先行するソニーに続き、カメラ売上2強の一角ニコンが次世代プロ機となるフルサイズミラーレス機を発表。ライバルのキヤノンも近く対抗機種を投入する見込みだ。『ニコンF』発売以来約60年続いた一眼レフの時代が、いよいよ終焉を迎える>

プロカメラマンやハイアマチュアと呼ばれるベテランカメラマンが使うカメラと言えば、「一眼レフ」が主流だ。その中でも、最も一般的だった35mmフィルムを使う「35mm判一眼レフ」が、現在主流のフルサイズ(またはAPS-C)デジタル一眼レフの基礎になっている。プロ用一眼レフの元祖と言える存在が1959年発売の『ニコンF』で、それまでの「二眼レフ」や『ライカM3』に代表されるレンジファインダー式カメラに代わって、時代を席巻した。

一眼レフは、レンズと撮像面(フィルムまたは撮像素子)の間にミラー(鏡)を置くことで、実際にレンズを通した画像を光学ファインダーで見ることができるのが特徴だ。それが、左右反転した像を上から覗く形の二眼レフや、レンズによって異なる遠近感などが反映されないレンジファインダー式カメラに対する主な優位性だ。1980年代後半のオートフォーカス化、1990年代末のデジタル化という2度の特筆すべき技術革新があったにも関わらず、その基本構造は今日まで変わっていない。

一方で、近年、一眼レフに取って代わる存在として広く認識されているのが、一眼レフの象徴であるミラーを廃し、さまざまな先進的機能を搭載した「ミラーレスカメラ」(ミラーレス一眼、以後ミラーレス)だ。一般社団法人カメラ映像機器工業会(CIPA)の調べによれば、一眼レフと、ミラーレスに代表されるレンズ交換式の「ノンレフレックスカメラ」の世界シェアは、今年6月期の出荷台数ベースでは一眼レフが約61万9000台、ノンレフレックスは約36万2000台と差があるが、出荷金額では約278億円/約213億円 と拮抗している。そして、この夏の終わり、ついに主役交代に向けた動きがはっきりと見えてきた。これまではどちらかと言えば入門・中級者用のカメラに重点を置いてきたミラーレス市場に、プロの使用に耐えるフルサイズのハイエンド機を投入する動きが活発化しているのだ。

まず、一眼レフ時代を牽引したニコンが、入門機投入後一度は撤退したミラーレス市場に再参入。8月23日に同社初のフルサイズミラーレス「Z7」「Z6」を発表した。既に入門機ブランド『EOS Kiss』をミラーレス化して成功している売上トップのキヤノンも、9月中にフルサイズミラーレスを発表すると見られている。2強の参入により、2013年に世界初のフルサイズミラーレス「α7」を投入した3番手ソニーの独壇場だった市場が一気に拡大し、一眼レフ市場と逆転するのは時間の問題だと見られている。

ファインダー像と撮影結果が同じ「理想のカメラ」

ミラーレスの一眼レフに対する優位性は、まず、ミラーを収めるミラーボックスがないために小型軽量であること。そして、一眼レフの光学ファインダーに代わる電子ビューファインダー(EVF)と背面液晶モニターで、レンズの絞り値などに応じた「実際に写真になる像」を撮影前に確認できることだ。また、ソニーαシリーズ独自の人の目を自動的に検知してピントを自動的に合わせる「瞳AF」や電子シャッターによる秒速20コマの超高速連射といった一眼レフでは実現困難な機能を搭載している。

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