最新記事

アマゾン

アマゾンが取引先に課している「冷酷な条件」の実態

2018年1月26日(金)17時30分
林部健二(鶴 代表取締役)※東洋経済オンラインより転載

こうすることで、自分の担当部署だけでなく、上流から下流までの全体のビジネス状況を見ることができます。アマゾンでは、販売機能や物流機能がそれぞれ独立せずに社内で一体化しているため、上流から下流までどの機能の業績も同一フォーマットで確認できることが重要なのです。

数字はコントロールするもの

アマゾンでは、各KPIを週次でレビューする、WBR(Weekly Business Review=週次経営会議)という会議があります。各KPIにオーナー(主担当者)が決められており、WBRではそれぞれが先週の状況、今週の進捗と目標達成の見込みについて説明していき、それに対して、ほかのKPIのオーナーたちが厳しく質問していきます。

そのため、WBRでは数値の理由、今後の方策や改善策、さらには、前年との比較のため前年の数値の理由についても答えられるようにしておかなければなりません。ちなみに、日本のWBRは1~2時間、グローバルのWBRであれば3~4時間に及ぶこともあります。アマゾンではこれを毎週行い、その結果をビジネスに反映させているのです。

このWBRについて、非常に印象的だったエピソードがあります。私が当時オーナーを任されていたKPIで目標を達成し、意気揚々とWBRに参加したときのことです。私が自信満々に「We met the goal!(目標を達成しました)」と話したところ、「どうして目標を達成できたんだ?」という質問を受けたのです。

そのままスムーズに次に進むだろう、と思っていた私は一瞬パニックになってしまいました。そこで言われたのが「数字というのはコントロールするものだから、目標を達成しようがしまいが、理由をすべて理解しておかないと何の意味もないんだよ」という言葉でした。

それ以後、その考え方は自分の中にたたき込まれて、数値に関してはなぜそうなるのかを徹底的に考え、データを用意するようになりました。アマゾンでは、目標は達成して終わりではありません。どんな成功も、理由がわからなければ再現性がない、ととらえられてしまうのです。それほどまでに徹底してwhyを突き詰めるところも、アマゾン特有の文化だと思います。

KPIの例を取ってみてもわかるとおり、アマゾンではビジネスがとにかくロジカルに動いています。こうした合理的な考えや、緻密なデータや数値に基づいてビジネスを動かすことを徹底しているからこそ、薄利多売と言われる小売業の世界でアマゾンはここまで強大化することができたのです。しかしこの徹底した合理主義は、アマゾン内部だけではなく、アマゾンとかかわる取引企業にまで及んでいます。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

サウジ、緊急対応で原油生産増を計画 米のイラン攻撃

ワールド

ロシア、キューバへの燃料支援の可能性協議─副首相=

ワールド

25年の報道関係者殺害129人、過去最多 ガザでの

ワールド

英国、チャゴス諸島の主権譲渡巡る批准手続き「停止し
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 2
    3頭のクマがスキー客を猛追...ゲレンデで撮影された「恐怖の瞬間」映像が話題に
  • 3
    最高裁はなぜ「今回は」止めた?...トランプ関税を違憲とした「単純な理由」
  • 4
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 5
    2月末に西の空で起こる珍しい天体現象とは? 「チャ…
  • 6
    【クイズ】サメによる襲撃事件が最も多い国はどこ?
  • 7
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 8
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 9
    「バカにされてる」五輪・選手村で提供の「アメリカ…
  • 10
    「IKEAも動いた...」ネグレクトされた子猿パンチと「…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 5
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 8
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 9
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 10
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中