売買単位の統一と株式併合で、株価にはどんな影響があるのか
売買単位統一と同時に起こること
以下は、2017月9月に売買単位の統一を予定している銘柄です。
変更内容の欄には、売買単位が「1000株→100株」とあり、備考欄を見ると、同時に株式併合(10株→1株、5株→1株、2株→1株)が行われる銘柄もあることがわかります。
「株式併合」は「株式分割」とは逆で、2株を1株に併合する、といったケースです。たとえば1000株保有の株主は、2:1の株式併合によって500株保有となりますが、理論上、株価は2倍に調整されるため、併合前後で資産価値は変わりません。
売買単位の統一の推進と同時に、東京証券取引所では必要最低投資金額を「5万〜50万円」とすることを推奨しています。NISAの枠にも収まりやすく、個人投資家が流入しやすいためです。これが、売買単位統一と同時に株式併合を行うか否か、という対応の違いに表れています。
ここでもう一度、上のリストを見てみましょう。すると、3つのパターンが読み取れます。
1.売買単位の変更のみ
1000株単位だったのが100株単位になりますので、必要最低投資金額が10分の1に下がります。たとえば歌舞伎座<9661>なら、7月27日の終値は5490円なので、購入するには549万円必要だったのが54万9000円で済むことになります。
必要最低投資金額が下がることで、上で説明したように流動性が向上し、株価にプラス効果が期待できます。
2.売買単位の変更と同じ割合で株式併合
売買単位の変更とともに株式併合が行われます。その際、売買単位の変更(1000株→100株)と同じ10分の1の割合で株式併合が実施されます。
売買単位が10分の1になりますが、株式併合によって株数も10分の1になり、株価は10倍になります。こうすることで、たとえば元の必要最低取引金額が50万円未満だった場合、投資単位の水準を維持することができます。
株価367円(7月27日終値)の近鉄百貨店<8244>なら、必要最低投資資金は367円×1000株=36万7000円だったのが、100株単位となった場合、367円×100株=3万6700円となり、東証がめざす投資単位の水準(5万〜50万円)を維持できません。
また、企業にとっては株主増加による管理コストが上昇し、個人投資家にとっても株を購入する際のコスト割合が高くなります。
そこで、株式併合によって10株を1株とすることで株価を10倍の3670円にします。そうすると、3670円×100株=36万7000円というように必要最低投資金額を維持できます。したがって、株価への影響も理論上はありません。
【参考記事】株価が割安かどうかを見極める指標の「三角関係」