フレックスタイム制をうまく機能させる方法
まず、「言語コミュニケーション」と「非言語コミュニケーション」について――。
現代人のコミュニケーションは、その約80%が身振りや表情、あるいは匂いや手触りによって行われています。言葉を音声や文字で表現する「言語コミュニケーション」は、約20%に過ぎません。思いのほか、動物的な五感を頼りにしているわけですが、なかでも視覚が重要な位置を占めています。人間がコミュニケーションをとるとき、大脳の視覚野が活発になることがわかっています。
とはいえ、ビジネスの現場では、やはり言語コミュニケーションが中心になります。「相手の瞳をじっと見つめて......」などという場面はめったにないでしょう。
そこで、言語コミュニケーションについて、詳しく見ていきましょう。
まず、言語コミュニケーションには4つの技術があります。すなわち、「聞く」「話す」「読む」「書く」という4つの言語スキルです。そして、これらが使われている頻度は、それぞれ45%、30%、15%、10%という比率です。つまり、言語コミュニケーションのなかで半分近くが「聞く」ことにあてられているのです。相手の話を上手に聞くことがいかに大切か、これでよくわかります。
次に、この4つの言語スキルを両極併存の発想で検証してみましょう。
そうすると、「音声情報」と「文字情報」に分けることができ、その割合はそれぞれ75%、25%となります。
1人1台のパソコンで全員がメールアドレスをもったとしても、劇的にコミュニケーションがよくなることはありません。
なぜなら、メールでカバーできる文字情報は、言語情報の25%でしかないからです。残りの75%の音声情報を、どのようにマネジメントするかが大きな課題になります。
さらに、コミュニケーションを「受信」と「発信」に分けて考えることもできます。「聞く・読む」で60%、「話す・書く」で40%ですから、その比率はおおむね6対4になります。
多くのマネジャーがコミュニケーションで苦労しているのも、このあたりに原因がありそうです。発信と受信の「量」が逆転すると、効果的なコミュニケーションから遠のいてしまうのです。発信が受信を大幅に上回るコミュニケーションには、なんらかの問題があると疑ったほうがいいでしょう。
こうしたロジックを押さえたうえで、フレックスタイム制を導入するなら、生産性向上も十分期待できます。
逆に、フレックスタイム制が機能していない組織は、制度導入の是非を問う前に、社内コミュニケーションの実態を把握する必要があるでしょう。
[ツール] ボイスメール
ボイスメールが強力なサポートツールとなるはずです。本書がボイスメールにこだわるのは、見落とされがちな音声情報の重要性を再認識してほしいからです。
すでに述べたように、音声情報は気持ちや微妙なニュアンスを伝えるのに格好のツールなのです。丸紅テレコムでの商品供給の再開を願うばかりです。
※抜粋第3回:会議を減らすだけでは生産性が上がらない理由 はこちら