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自分を創る音の風景

vol.1 雅楽士 東儀秀樹さん

2014年03月18日(火)12時01分

東儀秀樹──その後、日本に帰国するわけですね。
「日本では帰国子女が集まる国際学級に入ったんですけど、同級生はロンドンやニューヨーク帰りばかりですから、ロックの情報がどんどん入ってきた。高校の受験に成功したらエレキ・ギターを買ってもらう約束になっていたので、頑張って志望校に合格して、それでようやくエレキ・ギターを手にするころができたんです。高校のころはハード・ロックのバンドをやってたんですけど、高校の終わりごろはフュージョン系に傾倒してました」

──高校生のころは<ロックのバンドでプロになるんだ>という目標を持っていたんでしょうか。
「少しは持ってました。ただ、子どものころから音楽に対して自信を持っていたので、技術を磨く努力を怠るようになっちゃってたんです。僕は根っから努力とか練習が大嫌いなタイプなので(笑)、ギターで誰かに弟子入りするとかは考えにくかった。編曲とか作曲の方面だったら何かできるかもしれない、それぐらいのイメージを持っていたのでそちらの道に進もうと思ってたんですね。そんなとき両親から<どうせ音楽の道に進むのであれば、一度雅楽にも目を向けてみたら?>と言われたんです」

──その言葉を聞いたとき、東儀さんはどう思われたんですか。
「西洋のポップな音楽指向ではあったけれど、その一方で日本人としての在り方にも意識は有りました。外国に住んでいると、自分が日本人であるという紛れもない事実が浮き彫りになっていくんですね。そのなかで<日本ってなんだろう?>という意識が芽生えてきて。高校生ながらに、日本人として背負わなくちゃいけないものが存在していることも薄々と分かり始めていたんです」

──雅楽は子どものころから耳にしていたんですか?
「いや、他の人より多少は知っていたかもしれないけど、ほとんど耳にしていなかった。祖父が篳篥(ひちりき)を吹いていたので、楽器の調整をしているところにちょっと遭遇したり、それぐらい。僕の家が雅楽の家系じゃなかったらピンと来なかったと思うんですけど、<血がさせる責任と誇りという重みを受け止めてみたい>という気持ちもどこかにあった。それで、とりあえずやってみようと」

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タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

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