コラム

「時間はロシアの味方」の意味──苦戦と屈辱が続くも「プーチンの戦争」は今年も終わらない

2023年01月27日(金)13時00分

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兵士と共に新年の国民への挨拶を行うプーチン MIKHAIL KLIMENTYEVーSPUTNIKーKREMLINーREUTERS

この戦争のとりわけ恐ろしい点の1つは、プーチンが諦めることはないということだ。自身をロシア帝国の創始者であるピョートル大帝になぞらえるプーチンにとって、敗北は許されない。ウクライナを征服して支配下に置くことの意義とてんびんにかければ、途方もない数の死者が出ても大した問題ではないと考えかねないのだ。

核戦争に発展するのではないかという不安の声も高まっている。実際、ロシアの軍事ドクトリンでは、ロシアの国家存続が脅かされれば核兵器による攻撃が許される。

アメリカや西欧諸国は、ロシアが戦術核を使用したとしても、核兵器で対抗することはしないという方針を示唆している。エスカレーションを避けるという意味では理にかなった姿勢だ。しかし、皮肉なことに、核による報復がないと見切ったプーチンが核のボタンを押しやすくなるという側面は無視できない。

現在、プーチンが自身の手柄と位置付けてきた2つの歴史的業績、すなわちロシア経済の再生とクリミアの併合が覆されかねない状況になっている。欧米などの経済制裁がいよいよ効果を発揮し始めており、しかもウクライナは東部の奪還に成功している(ことによるとクリミアも奪還するかもしれない)。

このような状況で、プーチンがロシアの国家存続が脅かされていると判断し、核兵器の使用を正当化しないと言い切れる人はいないだろう。核兵器の使用にまでは踏み切らないとしても、ロシア軍の攻勢がさらに激化する可能性は十分にある。

ロシアは、既に国際社会で孤立している。国際世論の厳しい非難を浴びても失うものはほとんどない。しかも、戦争の結末がどうなるにせよ、ロシアはこの戦争により屈辱を味わっている。強大だったはずのロシア軍が張り子の虎にすぎなかったことが白日の下にさらされたのだ。

ロシア人のアイデンティティーの多くの部分を占めるのは、勇猛果敢な強さへの誇りと、近隣諸国に対する優越意識だ。私の知人のロシア人の中には、今回の戦争に強く反対し、抗議してロシアを離れた人たちもいる。しかし、彼らですら、ロシア人よりもウクライナ人のほうが聡明で勇敢だという評価には、いら立ちをあらわにする。

自国より圧倒的に弱いはずの隣国に戦場で敗れるようなことがあれば、近隣諸国に対する優越意識を保つことは難しい。

プロフィール

サム・ポトリッキオ

Sam Potolicchio ジョージタウン大学教授(グローバル教育ディレクター)、ロシア国家経済・公共政策大統領アカデミー特別教授、プリンストン・レビュー誌が選ぶ「アメリカ最高の教授」の1人

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