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人気と権力が最高潮に達したプーチンがなぞるロシア皇帝の道
一方、実質GDPは1992年に15%下落し、1993年は9%、1994年は13%、1995年と1996年はそれぞれ4%縮小した。1997年にようやく1%弱のプラス成長に転じたものの、翌年にはルーブル建てロシア国債がデフォルト(債務不履行)に陥った。
ロシア当局が事実上の通貨切り下げに踏み切った後、ルーブルの価値(対ドルレート)は9カ月で半値、10カ月で3分の1になった。1997年10月2日のモスクワ証券取引所上場50銘柄の平均株価は572ルーブルだったが、1998年10月6日には32ルーブルに急落した。
混沌とした「民主主義時代」の深い傷痕を言葉だけで表現するのはほぼ不可能だが、リーダーシップのスタイルや年齢、職歴、出身地など、エリツィンとほぼ正反対の人物が登場したことはもちろん偶然ではない。
プーチンの「弱肉強食」を信条とする妥協を許さない姿勢と、自国の利益のみを重視する「ゼロサム思考」はロシア的な精神と一致する。さらにソ連時代の行きすぎた行為を恥と思わず、ミハイル・ゴルバチョフやエリツィンの時代に撤去されたソ連時代の彫像を(文字どおり)台座に戻した。
「生き残り」の天才プーチンは、単に最近の伝統を強調するだけではなく、1000年以上に及ぶ長く輝かしい歴史を再定義してみせる。例えばウクライナ東部のドンバス地域をロシアの「心臓部」と呼び、帝国時代とのつながりを強調する。
人々がプーチンに共鳴する第2の要素には、ロシア人が感じている一般的な不安感、屈辱感が関連している。プーチンは国民のこうした感情を強力かつ見事に代弁する。
プーチンは、おそらく過去20年間の世界のどの指導者よりも自国民のことをよく理解している。友人のロシア人ジャーナリストは、「ロシア人の心の糸を正しく弾くことができる」と表現した。
ロシアは外部の世界に脅威を感じ、見下されているという感覚にとらわれている。プーチンは国民の擁護者と、ロシア人の傷ついた誇りを堂々と代弁する「桂冠詩人」の両方を演じているのだ。
ロシアの不安の根底には、地理的呪縛がある。確かにロシアの広大な国土は世界最大で、2位のカナダの約2倍だが、そのため国境を守るのは至難の業だ。東部の人口は隣国・中国の10分の1、南部も中央アジア諸国の3分の1にすぎない。
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