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憲法に基づく「トランプ公職追放」論が急浮上、その論点は?
トランプは共和党予備選の第2回テレビ討論会もボイコットする予定 Leah Millis-REUTERS
<暴動や反乱に加担した公職者を追放するという憲法修正14条が注目の的に>
現在、世論調査では共和党の米大統領候補として過半数を超える支持を受けている、ドナルド・トランプ前大統領は、9月27日にカリフォルニア州で予定されている、第2回テレビ討論もボイコットする構えです。半数以上の支持があるのに、喋る時間は全員均等というようなイベントは不公平だというのが言い分です。
このままですと、トランプが2024年夏には共和党の統一候補として選出されるのは間違いないという声が高まっている一方で、ここへ来て大きな問題が浮上しています。
それは、「憲法修正14条問題」です。合衆国憲法の修正14条(第3節)には「公職追放規定」というのがあります。具体的には「官職にある者として、合衆国憲法を支持する旨の宣誓をしながら」その後、「合衆国に対する暴動または反乱に加わり、または合衆国の敵に援助もしくは便宜を与えた者」は「合衆国または各州の官職に就くことはできない」というのです。
この8月末以来、この憲法の条項がトランプに適用されるかどうか、法学者の間で活発な議論が展開されています。議論の内容は次のようなものです。
クーデター教唆でアウト?
1)大統領の座にあった2021年1月6日に、「既に敗北していた大統領選の結果を覆すクーデター」を教唆し、暴力事件を扇動したというのは、紛れもなく「官職にある者による暴動、反乱」であり、トランプは公職追放の対象になる。従って、2024年の大統領選の投票用紙には記載できない。
2)憲法解釈としては、この「公職追放条項」は即時適用がされる性格のもので、議会などの承認は不要である。(但し、憲法の条文によれば上下両院それぞれ3分の2の賛成があれば追放を解除することは可能)
3)大統領選の本選ではなく、各州の予備選においても、合衆国大統領を選ぶということは合衆国憲法の適用を受けるので、2024年1月以降の各州予備選の投票用紙にも記載できない。
これを受けて、既に訴訟合戦が始まっています。現時点では判決の動向は以下のようになっています。
4)同じように1月6日暴動に共感しつつ、バイデン当選を否定した連邦の保守派議員には「公職追放条項」を適用して、議員資格の欠格を求めた裁判があったが、基本的に「主犯でない」ことなどを理由に公職追放はされず。
5)フロリダ州で起きた「トランプを24年の選挙の投票用紙に乗せるな」という訴訟は、「原告にはそもそもこの問題を起訴する合理的な理由がない」として、却下。
となっています。では、公職追放に不利な判決が出ているからといって、トランプに適応されない可能性が高いかというと、4)に関してはトランプは主犯格ですので、この判決とは次元が異なるという説があります。5)に関しては、それこそ法廷は「トランプは公職追放の対象になるか?」という肝心の点の判断はしていないわけで、今後へ向けた判例にはなりません。
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