コラム

ウクライナ戦争への姿勢は「ブレない」米世論

2022年03月16日(水)14時15分

まず「アメリカは、ウクライナ問題に関するロシアとの外交に努力すべきか?」という問いですが、これに対する「イエス」は「72%」から「63%」に低下しています。これは、戦況の推移とロシアの態度から見ると現時点では「米ロ直接交渉は不可能」という感触が広がっているものと理解できます。

次に、「アメリカはロシアへのより強力な経済制裁を行うべきか?」という問いについての「イエス」は、「69%」から「77%」にアップしています。これも現実の流れを受けてのものだと思います。

重要なのは、「アメリカはウクライナ軍を援護するために空爆を行うべきか?」という問いです。この質問への「イエス」は、そもそも「34%」と低く、1週間後も微増の「37%」でしかありません。

また「アメリカは、ウクライナ防衛のために陸上部隊を派遣すべきか?」というストレートな質問に関しては、「イエス」が「38%」から「37%」へ微減となっています。

珍しく両派が一致

本稿の時点でちょうど入ってきた最新の世論調査(ヤフー/ユーガブ連合調査)では、3月10日から14日の時点で「アメリカは、地上軍をロシアとの戦闘のために、ウクライナに派遣すべきか?」という問いに対して、「イエス」が「19%」、「ノー」が「51%」となっています。ちなみに、民主党支持と共和党支持の間には大きな差はありません。

アメリカの世論は、今回の戦争に重大な関心を払っていますが、同時に米軍の直接関与には反対しています。そして、この姿勢に関しては民主党支持者と共和党支持者の間で大きな差はありません。

現時点では、FOXニュースの記者がウクライナ領内で死傷するといった問題が発生、またゼレンスキー大統領のリモート演説を前に、議会ではより強い支援策が議論されています。ですが、国としての姿勢に大きな変化が起きる気配はありません。アメリカは珍しく、今回の事態に対して「ブレない」姿勢を見せています。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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