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ノーベル物理学賞の真鍋博士が伝える、好奇心を育む教育の責務

真鍋淑郎博士(右)と筆者の冷泉彰彦氏(左)(筆者提供写真)
<地球温暖化の影響に関しては、人々の生活を脅かす洪水と旱魃の問題を強く懸念している>
今年のノーベル物理学賞を受賞した気象学者の真鍋淑郎博士に対談でじっくりお話を伺う機会がありました。教育論に関する部分を中心とした部分の記事は、12月14日の朝日新聞に掲載されていますが、その他にも重要なメッセージをうかがうことができたので、ご紹介したいと思います。
1つは、好奇心という問題です。対談の始めにあたって、真鍋博士が四国のご出身であることから、瀬戸内の気候や風土の話題を取り上げました。その際に真鍋博士は、少年時代に「四国の広い空を見るのが好きだった」という体験をお話しして下さいました。特に雲が時々刻々と変転していく様子は「見飽きなかった」というのです。私は、元々が文学の人間ですから、その「雲の変転」というのが博士の原体験なのかと思って伺っていました。
ところが、次の瞬間に博士は厳しい表情になって、日本には「豪雪、台風、梅雨」という3つの自然災害がありこれに悩まされてきた、ということに言及されました。「それを何とかしたい」というのが博士の原点だというのです。「ところが当時の天気予報は精度が悪い」ということで、そうした「勘に頼った天気予報」を科学的な「数値予報」に変えたいという思いが募ったという、そこから生涯をかけた研究テーマが出てきたのでした。
自然災害から日本を救いたい
その時は、やはり真鍋博士は骨の髄まで科学者であって、ロマンチストとは少し違うという印象を受けたのです。ですが、対談の後半で、日本の若い人々へのメッセージや教育論を展開していた際に、「好奇心」を大事にしなくてはならないということを何度も繰り返された際に、ハッと気付かされたのです。
一般に「好奇心」というと、とにかく「純粋に知りたい」「ただひたすら知りたい」という単純な心理というように考えがちです。ですから、一種の人畜無害なものだとか、あるいは少年少女の幼い心の動き、大人でもどちらかといえば趣味の世界というような受け止めをしがちです。
ですが、本当は違うのです。真鍋博士が少年時代に「雲の変転をいつまでも見飽きなかった」というのは間違いではないでしょう。雲の動きを含めた大空を美しいと思ったのも本当だと思います。ですが、おそらくその時に「雲の動き」を見ながら、そのように雲が「動く」ことが天候の変化につながるのだから、雲の動きのメカニズムを知ることは予報精度の向上につながる、という発想も芽生えていたのだと思われます。さらにその背景には、過酷な自然災害から列島を救いたいという発想もあったかもしれません。
好奇心というのは、そういうものではないでしょうか。
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