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9・11テロからの20年と日本
ロウワーマンハッタンの対岸に設置された9.11のメモリアル Eduardo Munoz-REUTERS
<アメリカでは超党派の「非介入主義」を根付かせたが、日本の「軽武装政策」という国是は変わらなかった>
朝方に凄まじい事件が続いた「あの日」、全米に飛行禁止令の敷かれた午後、飛行機雲の消えた空は深い海のような濃紺に包まれていました。その晩は初秋の冷え込みが厳しく、救出されていない生存者の消息が気遣われたのも、そして負傷者のための献血に多くの人が並んだのも、昨日のことのように蘇ってきます。
今年の9月11日、あれから20年の年月が経過することとなります。
現在もアフガンでは、タリバン主導政権の統治が立ち上がらずに混乱が続く一方で、既に米軍が撤退したことで国外脱出希望者の救出が停滞しています。この問題に関しては、バイデン大統領を批判する動きがあります。しかしながら、旧政府のガニ政権が事実上崩壊していた中では、ガニ大統領の即時米国亡命を拒否してタリバンとの間接的な交渉チャネルを残し、カブールの市街戦を回避できた現状についてはバイデン政権は腹を括って受け止める姿勢のようです。
ガニ政権崩壊の遠因は、2020年2月に当時のトランプ大統領とポンペイオ国務長官が、ガニ政権を無視して「アメリカとタリバンの停戦」合意を行ったことに遠因があります。それ以前の問題として、この停戦合意こそ、アメリカが事実上の敗戦を受け入れた判断であったわけです。ですから、この両名が、現状に関してバイデン氏を批判しても、あまり説得力はありません。
孤立主義の根源
いずれにしても、アメリカにとってのこの20年には、9・11という事件が大きく影を落としています。この点に関しては専門家の間で様々な論評が飛び交っていますが、一言で言えば、現在のアメリカを覆っている「分断」も、そして左右両派に共通する「非介入主義」という名の強い孤立主義も、全てこの9・11に端を発したものと考えられます。
その一方で、日本の場合はこの「9・11」という事件の影響は受けたものの、それで国の歴史が変わるということはなかったように思います。
事件のその日、アメリカには2人の日本の政治家が出張中でした。一人は当時都知事だった石原慎太郎氏でした。姉妹都市のニューヨークが被災する中で、滞在中のワシントンDCから激励に回ることが期待されましたが、同氏は何故か動きを見せませんでした。
一方で、ニューヨークには当時閣僚だった尾身幸次氏が出張中であり、激励や視察は行いましたが、日本への土産を買うために百貨店を探し回ったという報道があり、落胆を感じたのを覚えています。少なくとも、この両名にとって事件は、「他人事(ひとごと)」であったのかもしれません。
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