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バイデン政権のマスク緩和令で、混乱広がるアメリカ社会
バイデンはマスク着用に関する新たなガイドラインを発表した Kevin Lamarque-REUTERS
<ワクチン接種を完了していない人口が過半数残るなかでのマスク緩和令には、「時期尚早」という声も>
5月13日、ジョー・バイデン米大統領は会見して、CDC(米疾病予防管理センター)が示した、新型コロナウイルスに関する新しいガイドラインを説明しました。この新しいガイドラインというのは、
1、新型コロナウイルスワクチンの接種を完了すれば、屋内外を問わず、マスクを着用しなくてもいい。
2、ただし、バスや飛行機、病院など混雑した屋内では引き続きマスク着用が求められる。
3、ワクチン接種完了者には「ソーシャル・ディスタンス」の確保も求めない。
というものです。バイデン大統領は、このガイドラインを発表するのと同時に、自らがマスクを外すパフォーマンスまでやっていました。
この「マスク緩和」ですが、ワクチン接種が進み、その結果として新規感染者数、重症者などの指標が大きく改善したことが背景にはあります。接種率については、一時の勢いはなくなったものの、累計では「完全に接種を完了」つまり、2回必要なワクチンは2回、1回で良いものは1回の接種を完了した人は1億2500人(人口の38%)に達しています。
まだまだ遠い「集団免疫」への道のり
そうは言っても、いわゆる「集団免疫」、つまり免疫を持つ人口が大きな壁となって感染収束が視野に入ってくるための接種率として必要とされる、60〜70%という水準にはまだまだ道のりは遠いのは事実です。したがって、今回の「マスク緩和令」については、時期尚早という声もあります。
ただ、バイデン政権にとっては、ワクチン接種を猛烈な速度で実施して、最終的には実体経済を力強く回復させなくてはなりません。これに失敗すると、2022年の中間選挙においては「トランプ主導の共和党」に勝利を許してしまい、政局は再び混沌としてしまうからです。
そんななかで、この時点、つまりワクチン接種を完了していない人口が過半数残る中での「マスク緩和令」は、早速、混乱を招いています。
まず、いくら全国レベルでのガイドラインを提示したといっても、具体的な規制というのは各州に任されています。その一方で、今回の大統領の宣言を受けて、全国チェーンの大手企業などは企業としての方針を発表しました。真っ先に「マスク緩和」を打ち出したのは、量販店のウォルマート、会員制量販店のコストコ(コスコ)、独自ブランド商品中心の食料品店トレーダー・ジョーズという、大手3社でした。
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