コラム

接触機会「8割減」はどうやったら実現できるのか

2020年04月14日(火)14時45分

社会全体の接触機会を「8割削減」するという目標では具体的なイメージは湧きにくいが Issei Kato-REUTERS

<欧米のロックダウンのような強制力がない日本の休業要請でも、もう少し実効性を上げる方法はあるはず>

3月後半から始まった新型コロナウィルス感染拡大の「第二波」対策として、緊急事態が宣言されている7都府県を中心に「社会的接触を8割削減する」ことが目標とされています。

アメリカでは、私の住むニュージャージー州を含めた多くの州で、都市閉鎖(ロックダウン)が続いています。こちらは、より具体的な規制があり、また罰則規定もあれば、実際に警察による強制力の行使も伴っているので、直接比較はできません。ですが、日本の場合、もう少し具体的に問題解決を図ることで、もう少しスムーズに接触削減が推進できるように思います。

1つは、アメリカの休業命令の出し方と比較すると、日本の場合は休業要請がされている業種が極めて限定的で、その他については横並びになっている問題があります。つまり、全体としては休業しなくてもいいが「漠然と8割削減(政財界からは7割とも)」を求めるというメッセージです。これは非常に「やりにくい」と思います。

例えば、食料品スーパーは、市民生活を守るための基幹業種です。そして、人々が外食を削減して自宅の中で生活することを考えると、需要増となっています。また、感染防止策については、より神経を使う業種です。ですから、まさに基幹業種にあたるわけで、そこに横並びで「削減」を求めることはできません。

テレワーク移行の「前提」

日本経済の生命線であるサプライチェーンに関連した製造の現場要員の方々なども同様だし、とにかく「必要不可欠な基幹の業種」については、削減0%を認め、その分は他の「不要不急」の産業や職種で達成するというメリハリが必要と思います。

2つ目は、テレワークについてです。仮に食品スーパーであっても、重要な製造業であっても、現場を回す要員ではなく、総務・経理・人事などの間接部門で、どの会社にもある標準化できる部分は「100%削減」つまりテレワーク移行を求めるべきです。

そのためには、紙の契約書や請求書を廃止するとか、業務を各社が自己流でやっている部分を止めるなどの改革が必要です。これについてはとにかく現場の方々は日々苦闘していると思うので、後は経営陣が理解を示すかどうかがポイントです。

ところで、テレワークが可能な職種は基本的に頭脳労働であり、今回のコロナ危機が結果的に格差を拡大する方向に作用している、そうした懸念はアメリカでも出ています。ですが、日本の場合は同じ頭脳労働のオフィスワークでも、正規雇用と非正規雇用に分かれているところが問題です。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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