- HOME
- コラム
- プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
- アメフト悪質タックル事件を、アメリカから考えると
アメフト悪質タックル事件を、アメリカから考えると
セインツは、2010年に内部告発があったことからNFLの厳しい取り調べを受けました。実際は、意図的に相手チームのQB(クオーターバック)へ激しいラフプレーを仕掛けていたのですが、その深刻さの割には処分が軽かったのです。事件の中心人物であったコーチ、監督は出場停止処分を受けましたが、コーチは移籍して現在も活躍中、監督の方は処分後もセインツに復帰して現在も監督を務めています。
どうして処分が甘かったのかというと、意図的な悪質タックルなどの行為は、規則によって厳格に摘発されるべきで、審判が発見できなかった違反行為に関しては厳しく処罰できないという考えがベースにあったからです。そこで、問題視されたのは、「闇のボーナス」制度でした。つまり「ラフなプレー」をしたり、「相手の選手を負傷させ」たりした場合にチームが裏金からボーナスを出していた点が問題視されたのです。
もちろん、相手にケガをさせるという指示が出ていたのは倫理的には許されることではありませんが、とにかく審判が現場で摘発できないプレーを、後から倫理的に問題だからという形で処分するのは難しいのです。そこで、連盟として厳格にやっている「給与総額の管理」に違反して、裏金からボーナスを払ったのは規約違反だとして、これを問題視したのでした。もう一つの問題となった「脳しんとう」の原因となる危険行為については、厳格に調査がされました。
しかし、それ以外はプレーの範囲ということになり、かなり甘い処分になったのです。その理由の一つは、この「闇のボーナス」を運用していた期間について調べてみると、セインツの対戦相手のデータを分析してみても「特に負傷率がアップしたわけではない」という結果になったからとも言われています。
要するにチームの指示があり、ボーナスをエサとしてつられていても、実際のプレーの中で選手たちは、自分たちが懲罰を受けるような汚いプレーはできなかったし、ある一線を越えて仕掛けることはなかったのだと思われます。
この「ある一線」ということについて言えば、それは現場の選手は長年のプレーを通じてよく知っているはずです。それは、アメリカのプロも、日本の大学チームも大きくは変わらないと思います。その一線が簡単に越えられてしまったことの背景には、やはり組織の問題があったと考えざるを得ません。
【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>
ロス山火事で崩壊の危機、どうなるアメリカの火災保険 2025.01.15
日鉄はUSスチール買収禁止に対して正々堂々、訴訟で勝負すればいい 2025.01.08
日本企業の国内軽視が招いた1人当たりGDPの凋落 2024.12.25
日産とホンダの経営統合と日本経済の空洞化を考える 2024.12.18
医療保険CEO銃殺事件が映すアメリカの現在 2024.12.11
二期目のトランプと「現実世界」を繋ぐのは誰か? 2024.12.04
日本とアメリカの現状否定票、その共通点と相違点 2024.11.27
-
港区 営業アシスタント「海外ネットワークを持つ外資系総合商社」フレックス/残業月10h/年休120日
コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッド
- 東京都
- 年収500万円~550万円
- 正社員
-
一般事務/メーカー 残業なし/外資系企業/20-30代活躍中
株式会社スタッフサービス ミラエール
- 東京都
- 月給20万6,000円~
- 正社員
-
貿易事務/流通関連 駅チカ/外資系企業/20-30代活躍中
株式会社スタッフサービス ミラエール
- 東京都
- 月給20万6,000円~
- 正社員
-
経験5年必須/プリセールス/年商250億円企業/リモート可/外資系企業
SAI DIGITAL株式会社
- 東京都
- 年収400万円~750万円
- 正社員