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就任半年のトランプ政権、顕著になる「指導力」の不在
3つ目は通貨問題です。景気が弱くなり、利上げの可能性が薄れることでドルは弱含みとなります。このドル安傾向ですが、かねてから通商政策における保護主義と、国内雇用の改善を主張してきたトランプ政権にとっては、理屈から言えばドル安歓迎になるはずです。ですが、一方で、金融業界の利益代表でもある政権としては、強いドル志向という姿勢も見え隠れしています。一体どっちなのか、ここにも指導力の不在があります。
4つ目は外交です。ロシア疑惑を打ち消すように、ロシアに対して強硬に出たり、新たな経済制裁をチラつかせたり、その一方でポストISのシリア情勢はアサド政権とロシアに丸投げするなど、ここでも一貫性のなさが顕著です。
中国に関してもそうです。北朝鮮への圧力行使を行なえとプレッシャーをかけたり、南シナ海での「航行の自由」確保の動きをする一方で、中国通のジョン・ハンツマン元ユタ州知事をロシア大使に指名する、あるいは、新任のアンソニー・スカラムッチ広報部長というのは自分の投資ファンドを中国に売却した人物であったりと、中国に対して厳しいのか密接なのか良くわからないのです。
【参考記事】トランプ長男が公表したロシア関連メールの衝撃
その新たに着任したスカルムッチですが、就任が決まったことでショーン・スパイサー広報官が辞任したばかりか、ランス・プリーバス首席補佐官との確執も明らかとなり、ホワイトハウスはさらに迷走しています。
同部長は、ホワイトハウスからの「リークは厳しく取り締まる」一方で、大統領などによるツイッターでの政策・政見の発信は積極的に進めると言明しています。そのツイッターでは、大統領が「統合参謀本部とのすり合わせ」もなく、唐突にトランスジェンダー兵士の入隊禁止を発表。政界もペンタゴンも混乱に陥っているのが現状です。
さらに大統領は、自分が任命したセッションズ司法長官に対して、非難を繰り返しています。ロシア疑惑に関して「自分は当事者なので利害相反があり、局外に立つ」とした長官の姿勢を「無責任」だという批判ですが、意味不明であり、政権の周囲はこの件でも混乱状態にあります。
一連の混乱が続く中で、トランプ政権の支持率は40%を切ったまま好転の兆しはありません(リアル・クリアー・ポリティクス発表の各種調査平均値による)。
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