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バングラデシュ人質事件、日本はこれから何ができるのか?
実際のバングラの政局は大中小の政党が乱立する複雑なものですが、それを単純化してお話するならば、この二大政党が「世俗政党」である一方で、「ジャマティ・イスラミ」というイスラム主義政党が存在しています。このジャマティ・イスラミは、潜在的に10%前後の支持率があるため、現時点では下野したBNPと一緒になって与党のアワミ連盟に対抗する格好となっています。
これに対して、アワミ連盟は弾圧を強化しています。
バングラが独立運動をしていた70~72年にかけて、パキスタン側は暴力的に警官隊と軍隊で独立派を鎮圧しようとしました。ジャマティ・イスラミにはその際に「イスラム国家を防衛する」ために「パキスタン側につく」という選択をした人々も残っているというのです。
ハシナ現政権は、この「独立戦争当時の殺傷行為関与」に関して、ジャマティ・イスラミの幹部に死刑判決を出しました。これは2013年のことで、それ以降、現政権とジャマティ・イスラミの関係は悪化しています。結果として、昨年には治安情勢のかなりの悪化を示す事件が散発的に起きています。
ジャマティ・イスラミの周辺で「ハシナ政権の弾圧に対する不満」が鬱積しており、それが一部の若者がISISの「ジハード主義」に共感する異常な状況の背景にあると見るべきでしょう。
【参考記事】バングラデシュ人質事件、一部容疑者は裕福な家出身のエリート
2つ目の要素は、日本とバングラの極めて緊密な関係です。日本は、国策としてバングラを支援する活動を、長いスパンで進めてきています。例えば、独立運動が始まる前の70年のサイクロン被災の際にも官民挙げて大きな支援をして、その歴史は46年にもなります。バングラの人々が極めて親日であるのは、そのためです。
例えば、今回の事件の犠牲者の中に鉄道技師の方がおられますが、これは激しい交通渋滞がある現状下、大気汚染などの健康被害も出ているダッカの状況を何とか救おうと「地下鉄整備」を進めるプロジェクトです。これと並行して、今でも懸念されているサイクロン水害に対して、防潮体制をレベルアップするというプロジェクトも進んでいます。
実は、事件の2日前の先月29日にJICAはバングラ政府との間で、この「地下鉄」と「防災」という2大プロジェクトを含めた6件の案件を対象にした総額1735億円(貸付限度額)に上る円借款供与の調印をしています。
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