プレスリリース
GSアライアンスが、量子ドット―金属有機構造体(MOF:Metal Organic Framework)複合体を用いた人工光合成に成功
2022年04月07日(木)13時00分
GSアライアンス株式会社は、この度、量子ドットと金属有機構造体(MOF:Metal Organic Framework)を複合化させた独自の触媒を用いて、温室効果ガスであるCO2と水、そして太陽光エネルギーを用いて、外部からの電気エネルギーを必要とせず、燃料や化学物質の中間体原料となり得るギ酸を人工光合成により合成することに成功しました。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/305329/LL_img_305329_1.jpg
人工光合成の実験
人口爆発に伴う地球温暖化、資源枯渇、プラスチック汚染問題などの地球環境破壊は深刻になりつつあり、生態系を破壊する壊滅的なレベルになりつつあります。このような状況の中、温室効果ガスやエネルギー資源不足に対処するために、植物のように太陽光エネルギーを使って、二酸化炭素(CO2)と水から有機物を生成する人工光合成という技術に注目が集まっています。CO2は地球温暖化の原因であるとされており、CO2を削減することが脱炭素、カーボンニュートラル社会構築に向けての目標ですが、逆にこの悪者であるCO2を原料として使用するのです。
CO2を原料として用いることによって、新たな資源エネルギーを生み出し、CO2削減も同時に達成できるという夢のような技術で、現時点では、世界においても日本の研究開発が一歩リードしています。
MOFとは無機金属クラスターと有機リンカーから合成される、新しいタイプの超多孔性の有機無機ハイブリッド材料であり、ナノメートルの分子レベルで構造が制御でき、表面積が非常に大きく、近年、非常に注目されている最先端材料です。これらの優れた特徴からMOFはガス貯蔵、ガス分離、金属吸着、触媒、ドラッグデリバリー、水処理、センサー、電極、フィルターなど種々の応用が検討されています。近年の研究から、MOFがCO2を回収する能力に優れていることが明らかになっており、さらにその回収したCO2を光還元、化学物質の合成など、つまり人工光合成として応用する検討も始まっています。
その特徴のあるMOFの超微細多孔性構造、そして光吸収の波長範囲を合成により最適化できる利点から、他の人工光合成の材料候補である酸化物、金属錯体、窒化物、酵素などより有利になるとも言われています。GSアライアンスでは、そのMOFを合成しており、CO2の吸収に最適なMOFも自社で合成しています。
一方で、量子ドットとは、量子化学、量子力学に従う光学特性を持つシングルナノスケール(0.5~9nm)の超微細構造の最先端材料です。量子ドット1個あたりの原子、分子数は数個~数千個といわれており、人工原子、人工分子とも言われています。物質がこのサイズになってくると、量子封じ込めと言われる物理化学的効果により、量子ドットにおいての電子エネルギー準位は連続ではなく、分離が生じ、光励起による発光波長が量子ドットのサイズに依存するような現象を示すようになります。この量子ドットも、その優れた光吸収能力、励起子を複数生成できる能力、大きな表面積を有していることから、人工光合成に適する可能性のある材料として研究開発が進んでいます。
しかしながら、この量子ドットにおいては、耐久性、耐水性に問題がありました。
GSアライアンスでは、このMOF、量子ドットを両方とも自社内で合成しています。この度、これらの2つの最先端材料を複合化させて最適化することにより、量子ドットの弱点である耐久性、耐水性をMOFに取り込ませることにより向上させ、216 μmol h-1 g-1 catという高収率でギ酸を合成することに成功しました。光源としては、約460nm付近に中心を持つLEDライトを使用しました。量子ドットの中において光励起された電子が、MOFの金属触媒にスムーズに輸送されることにより、触媒活性を向上させるような相乗効果も加わっているとも推測できます。
この度、人工光合成によって作られたギ酸は水素社会構築に向けても寄与できる可能性があります。水素社会の世界的な普及を拒んでいる大きな原因の1つに水素貯蔵の難しさがあります。水素タンクなどの手法が用いられていますが、水素は宇宙で最も小さい元素であり、特に気体の水素を貯蔵するのは非常に困難であり、コストが高くなってしまいます。その点、ギ酸は強酸であるという取り扱い時のデメリットはあるものの、液体なので水素と比較して貯蔵するのがはるかに楽であり、実用化のハードルが大きく下がります。また水素ではなく、ギ酸を直接燃料電池の燃料とするような研究開発もあります。もしくは、ギ酸から触媒によりその場で水素を生成させることも可能です。
よって、同社では現在、水素ではなく、あらゆる意味で貯蔵が楽な、ギ酸の生成に主な目的をおいて人工光合成の研究開発を進めています。
今後もさらなる収率の向上の検討を続け、人工光合成の実用化を目指します。
■会社概要
商号 : GSアライアンス株式会社(冨士色素株式会社グループ)
代表者 : 代表取締役 森 良平博士(工学)
本社所在地: 〒666-0015 兵庫県川西市小花2-22-11
事業内容 : 脱炭素、カーボンニュートラルの課題に取り組む環境、
エネルギー分野の最先端技術の研究開発
(国連のスタートアップ企業支援プログラム
UNOPS GIC KOBEに2020年に採択)
URL : https://www.gsalliance.co.jp/
詳細はこちら
プレスリリース提供元:@Press
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/305329/LL_img_305329_1.jpg
人工光合成の実験
人口爆発に伴う地球温暖化、資源枯渇、プラスチック汚染問題などの地球環境破壊は深刻になりつつあり、生態系を破壊する壊滅的なレベルになりつつあります。このような状況の中、温室効果ガスやエネルギー資源不足に対処するために、植物のように太陽光エネルギーを使って、二酸化炭素(CO2)と水から有機物を生成する人工光合成という技術に注目が集まっています。CO2は地球温暖化の原因であるとされており、CO2を削減することが脱炭素、カーボンニュートラル社会構築に向けての目標ですが、逆にこの悪者であるCO2を原料として使用するのです。
CO2を原料として用いることによって、新たな資源エネルギーを生み出し、CO2削減も同時に達成できるという夢のような技術で、現時点では、世界においても日本の研究開発が一歩リードしています。
MOFとは無機金属クラスターと有機リンカーから合成される、新しいタイプの超多孔性の有機無機ハイブリッド材料であり、ナノメートルの分子レベルで構造が制御でき、表面積が非常に大きく、近年、非常に注目されている最先端材料です。これらの優れた特徴からMOFはガス貯蔵、ガス分離、金属吸着、触媒、ドラッグデリバリー、水処理、センサー、電極、フィルターなど種々の応用が検討されています。近年の研究から、MOFがCO2を回収する能力に優れていることが明らかになっており、さらにその回収したCO2を光還元、化学物質の合成など、つまり人工光合成として応用する検討も始まっています。
その特徴のあるMOFの超微細多孔性構造、そして光吸収の波長範囲を合成により最適化できる利点から、他の人工光合成の材料候補である酸化物、金属錯体、窒化物、酵素などより有利になるとも言われています。GSアライアンスでは、そのMOFを合成しており、CO2の吸収に最適なMOFも自社で合成しています。
一方で、量子ドットとは、量子化学、量子力学に従う光学特性を持つシングルナノスケール(0.5~9nm)の超微細構造の最先端材料です。量子ドット1個あたりの原子、分子数は数個~数千個といわれており、人工原子、人工分子とも言われています。物質がこのサイズになってくると、量子封じ込めと言われる物理化学的効果により、量子ドットにおいての電子エネルギー準位は連続ではなく、分離が生じ、光励起による発光波長が量子ドットのサイズに依存するような現象を示すようになります。この量子ドットも、その優れた光吸収能力、励起子を複数生成できる能力、大きな表面積を有していることから、人工光合成に適する可能性のある材料として研究開発が進んでいます。
しかしながら、この量子ドットにおいては、耐久性、耐水性に問題がありました。
GSアライアンスでは、このMOF、量子ドットを両方とも自社内で合成しています。この度、これらの2つの最先端材料を複合化させて最適化することにより、量子ドットの弱点である耐久性、耐水性をMOFに取り込ませることにより向上させ、216 μmol h-1 g-1 catという高収率でギ酸を合成することに成功しました。光源としては、約460nm付近に中心を持つLEDライトを使用しました。量子ドットの中において光励起された電子が、MOFの金属触媒にスムーズに輸送されることにより、触媒活性を向上させるような相乗効果も加わっているとも推測できます。
この度、人工光合成によって作られたギ酸は水素社会構築に向けても寄与できる可能性があります。水素社会の世界的な普及を拒んでいる大きな原因の1つに水素貯蔵の難しさがあります。水素タンクなどの手法が用いられていますが、水素は宇宙で最も小さい元素であり、特に気体の水素を貯蔵するのは非常に困難であり、コストが高くなってしまいます。その点、ギ酸は強酸であるという取り扱い時のデメリットはあるものの、液体なので水素と比較して貯蔵するのがはるかに楽であり、実用化のハードルが大きく下がります。また水素ではなく、ギ酸を直接燃料電池の燃料とするような研究開発もあります。もしくは、ギ酸から触媒によりその場で水素を生成させることも可能です。
よって、同社では現在、水素ではなく、あらゆる意味で貯蔵が楽な、ギ酸の生成に主な目的をおいて人工光合成の研究開発を進めています。
今後もさらなる収率の向上の検討を続け、人工光合成の実用化を目指します。
■会社概要
商号 : GSアライアンス株式会社(冨士色素株式会社グループ)
代表者 : 代表取締役 森 良平博士(工学)
本社所在地: 〒666-0015 兵庫県川西市小花2-22-11
事業内容 : 脱炭素、カーボンニュートラルの課題に取り組む環境、
エネルギー分野の最先端技術の研究開発
(国連のスタートアップ企業支援プログラム
UNOPS GIC KOBEに2020年に採択)
URL : https://www.gsalliance.co.jp/
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