- HOME
- Picture Power
- 世界報道写真コンテスト 「シグナル」が大賞に
Picture Power
世界報道写真コンテスト 「シグナル」が大賞に
2014 World Press Photo Contest
Photographs by Courtesy of World Press Photo
日常生活/ストーリー部門1位:発見された日時:2013年2月1日午後3時45分、場所:サンサルバドルのアポパにある砂糖農園、性別:女性、年齢:17-18才、行方不明になった時期:不明、中米の「北の三角地帯」といわれるホンジュラス、グアテマラ、エルサルバドルの3カ国は世界で最も危険な地域で、多くの場合、発見された服は暴力の犠牲となった被害者を識別するための唯一の手段となっている(サンサルバドル、エルサルバドル 2013年8月10日)Fred Ramos, El Salvador, El Faro
先ごろ、世界報道写真(World Press Photo)財団(本部・オランダ)から第57回世界報道写真コンテストの各賞が発表になった。大賞は、月の輝くジプチの海岸で家族と連絡を取るために、安い電波を捉えようと携帯電話を掲げるアフリカの移民たちを写したアメリカのジョン・スタンマイヤーが受賞した。毎年行われる世界最大級の報道写真コンテストには、132カ国のプロ写真家5.754人から98,671点の作品が寄せられていた。
大賞の審査では、今年は特にバラエティに富んだ作品が並ぶことになった各部門賞の中から、9名の審査員によって財団が定めた規定に則り選出された大賞候補の作品が、目の前の大きなスクリーンに1点ずつゆっくりと映し出される。その課程で、静かながらもパワフルで美しい写真「シグナル」は、他の候補作にも増していくつものストーリーを次々と語りかけてきた。移民、貧困、グローバリゼーション、テクノロジー、家族愛、郷愁ーー審査員たちの熱のこもったディスカッションは止まらぬまま最終投票まで進み、大賞に決まっていった。たとえ、この写真が撮影されたジプチから遠く離れた土地で暮らしていても、見る者は自らの生活や経験に照らして写真から多くのメッセージを受け取るだろう。
今年のコンテストから、各部門賞を決める前段階で、応募写真の未加工データを写真家に求め、独立した立場の専門家によって画像加工の技術的チェックが行われ、審査員によって「マニュピレーション」と呼ばれる過度の画像操作にあたるか否かの判断がなされた。昨年の大賞作に「マニュピレーション」があったのではないかという疑問が投げかけられた(財団は正式に否定)ことがきっかけとなり、より公正を期すために新しく採用されたルールだ。結果は、データが解析されたうちの8%にあたる10作品が失格となっている。
編集部ーー片岡英子(世界報道写真コンテスト2014/2010審査員)
関連リンク:
世界報道写真(World Press Photo)財団
関連記事:
世界報道写真コンテスト 「ガザの葬列」が大賞に
世界報道写真コンテスト 大賞は「アラブの春」から
世界報道写真コンテスト 大賞は「鼻と耳を削がれた女性」
世界報道写真大賞を狙え---コンテスト直前ゼミ
世界報道写真コンテスト 「抗議の叫び」が大賞に
世界報道写真コンテスト:審査の裏側