SPECIAL ADVERTISING SECTION

PHVが拓くこれからのモビリティ

Vol.3 神戸大学経営学研究科教授 尾崎弘之さん
次世代エコカーが日本の環境ビジネスを牽引する

2015年11月02日(月)11時15分

尾崎弘之さん

──PHVはいずれ、次世代エコカーの主役となるのでしょうか。
 そうなるには少し時間が必要でしょう。ただし、PHVもひとたび普及すれば「こんなに便利なものはない」と多くの人に支持され、エコカーのスタンダードになる可能性は十分にあると思います。1997年に発売されたプリウスが本格的に普及するまでに、10年以上かかりました。ハイブリッドという仕組みは、それまでにない新しい商品だったため、ユーザーの信頼感を得るのに一定の期間を要したのです。これは革新的な商品が世に出るときの常で、例えばスマホにしても、爆発的に広まるまでにそれなりの時間がかかっています。メーカーはPHVが本格的に普及することを目指して、短時間の充電でより長距離のEV走行ができるようになるなど、商品特性をさらに高めてもらいたいですね。また、HV、PHV、EVのランニングコストが横並びで比較できるような統一基準をつくり、経済性が消費者にわかりやすくなることも必要だと思います。

──他の次世代エコカーにはない、PHVのメリットとは。
 現在の日本は発電量の約90%を火力に依存しており、原油価格が上がればガソリン代も電気代も上昇します。しかし今後、再生可能エネルギーの普及などでエネルギー源が分散されれば、「ガソリン代は高いが電気代は安いから、できるだけ充電した電力を使ってEV走行をしよう」といった柔軟な選択が可能になります。その時々の経済性に応じてユーザーがフレキシブルにエネルギー源を選択できることも、PHVならではのメリットでしょう。

──その一方で、EVにはEVならではの存在価値がありますね。
 欧州では中心部に公共交通機関以外のガソリン車の乗り入れを認めない都市があり、そこではEVがコミューターとして活用されています。日本でも将来、走行距離が比較的短い都市部を中心として充電の手間が少ないカーシェアリングでEVが広まり、郊外ではPHVが主流になるかもしれません。EV、PHV、FCVにはそれぞれに特質があるので、地域特性などに応じて「次世代エコカーの使い分け」が行われると思います。

MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 5
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 9
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中