SPECIAL ADVERTISING SECTION

PHVが拓くこれからのモビリティ

Vol.3 神戸大学経営学研究科教授 尾崎弘之さん
次世代エコカーが日本の環境ビジネスを牽引する

2015年11月02日(月)11時15分

尾崎弘之さん

──自動車が急速に普及しつつある新興諸国でも、日本のエコカー技術に対する注目度が増しています。
 大変な勢いでモータリゼーションが進む中国は、自動車の排気ガスなどの影響で大気汚染が深刻です。このままでは社会の持続可能性に関わるので、排気ガスや燃費規制が強化されるのは必至でしょう。同じことはインド、ASEAN諸国などにもいえると思います。そうした新興国では安価なガソリン車が主流ですが、いずれ購買力が増せば、当然国民の関心は環境対応型の車に向いていくはずです。

──日本が世界に環境ビジネスを展開していく中で、PHVは大きな役割を果たすと考えられますか。
 PHVの開発には欧州の自動車メーカーも力を入れていますが、プリウスなどで実績のある日本メーカーの技術的な優位性は高いと思っています。半導体や蓄電池などの製品はコモディティ化したために、残念ながら日本企業が優位性を失ってしまいましたが、自動車は状況が違います。エンジンや制御システムをブラックボックス化したまま、周辺技術だけを移転すれば、新興国も簡単にマネすることはできません。「PHVのこの部分は日本のメーカーにしかつくれない」というかたちで、将来エコカー需要が爆発的に伸びると思わる新興諸国を環境ビジネスのターゲットとすることは、日本経済にとって極めて重要な戦略でしょうね。

プリウスPHV──欧米諸国における次世代エコカーの広がりはどうなのでしょうか。
 伝統的にディーゼル車が多い欧州では、ディーゼルのPHVが普及する可能性があり、ドイツなどのメーカーが強力な競争相手となるでしょう。一方、政策的にガソリン価格を比較的安くしているアメリカでは、あまりエコカーへの関心が高いとはいえません。ただし、排ガス規制の厳しいカリフォルニア州などでは、プリウスが普及しています。今後世界各国(地域)の環境規制は総じて厳しくなる方向性なので、アメリカでもHVだけではなくPHVの存在感が強まっていくはずだと思います。

※1 国土交通省(運輸部門における二酸化炭素排出量の推移)
※2 日本自動車工業会調べ

プロフィール

尾崎弘之さん

尾崎弘之(おざき ひろゆき)

◎神戸大学経営学研究科教授。 東京大学法学部卒業後、野村證券に入社。ニューヨーク大学大学院スターン・スクール・オブ・ビジネス修了(MBA)、早稲田大学博士後期課程修了。博士(学術)。モルガン・スタンレー証券バイス・プレジデント、ゴールドマン・サックス投信執行役員を歴任後、バイオビジョン・キャピタル株式会社常務取締役、ディナベック株式会社取締役CFO。2005年より東京工科大学教授。15年より現職。専門はエネルギー環境ビジネス、ベンチャー経営。

MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでいない」の証言...「不都合な真実」見てしまった軍人の運命
  • 4
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 5
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 6
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 7
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 10
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 9
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 10
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中