SPECIAL ADVERTISING SECTION

フランス人と行く!四国お遍路

本当のゴールは、第八十八番札所ではなく、和歌山の高野山だった

2016年01月29日(金)11時16分


DAY 6

樹齢千年の杉に囲まれ、空気の密度が高くなる

[高野山・金剛峯寺]

 福智院では、6時頃から朝のお勤めが始まる。高野山という有名な観光地だからか、お勤めに参加していた宿泊者の3人に1人は外国人観光客だった。今まで以上の外国人比率の高さに、Fさんもさすがに驚いている。

ohenro3-7l.jpg

福智院には重森三玲氏設計の石庭もある

 朝食後は、高野山真言宗総本山、金剛峯寺(こんごうぶじ)へ。高野山は「一山境内地」と言い、高野山という山全体がお寺になっている規格外にスケールの大きなお寺である。その中心である金剛峯寺の金堂では、様々な行事が行われている。

 本来なら、それこそ1日をかけて一周するくらいの見所だらけのお寺なのだ。とはいえ、ここではFさんが特に気に入っていた場所をピックアップして紹介していこう。

ohenro3-8l.jpg

一番奥が頭で、背中がところどころ見えているような状態の龍を表した石庭

 上写真の石庭は蟠龍庭(ばんりゅうてい)と言い、珍しい作りの石庭である。基本的に石庭の白川砂は水面を表現していることが多いが、ここの白川砂は雲海を表し、そこを龍が泳いでいる様を庭全体で表現している。

 高い山などから見下ろした雲を海に見立てる「雲海」は、実は石庭としては日本でここでしか見られない。Fさんは石庭の、石を様々なものに置き換え、かつそれがそのものらしく見えることに感動していた。

ohenro3-9m.jpg

金の間

 書院上段の間は、以前は天皇などが応接室として利用し、現在は重要な儀式の際に使用されている。見ての通り、ここの壁は一面金箔押しで、西洋の石造りの神殿などとはまったく違う豪華さが、Fさんの興味を引きつけたようだ。

 そして、ここから奥の院へと移動。

 奥の院までは入り口から2キロほど歩くが、その道中には戦国時代の大名の墓や記念碑などが、千年を超える樹齢の杉に囲まれて立っている。奥の院に足を踏み入れるとすぐ、酸素が濃くなったような、空気の密度が高くなったような感じがすると、Fさんが言った。いや、彼女だけではない。私も案内役である先達さんのTさんも含め、誰もが感じるほど分かりやすい差があった。

ohenro3-10m.jpg

奥の院へと続く参道

 また、奥の院のさらに奥にある弘法大師御廟の地下には、今なお弘法大師が御入定(ごにゅうじょう)されていて、毎日お坊さんが食事を運ぶのだという。午前10時頃、配膳のお坊さんが奥の院から弘法大師御廟まで食事を運ぶのだが、その粛々と進む儀式の様子は見逃せない。毎日、この瞬間のために観光ツアーが組まれているほどだ。

ohenro3-11l.jpg

弘法大師御廟から食事を下げるお坊さんたち

プロフィール

山崎勇歩

ライター、デザイナー。1987年千葉生まれ。武蔵野美術大学卒。外資系広告代理店でのクリエイティブ職を経て、現在に至る。

MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。

人気ランキング

  • 1
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...装いの「ある点」めぐってネット騒然
  • 2
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 3
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月29日、ハーバード大教授「休暇はXデーの前に」
  • 4
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 5
    為替は先が読みにくい?「ドル以外」に目を向けると…
  • 6
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 7
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 8
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 9
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 10
    【ムカつく、落ち込む】感情に振り回されず、気楽に…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 9
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 10
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中