電柱を減らせば日本の魅力はさらに増す?
その他の地方道で、今後は無電柱化に取り組んでいくことになりますし、おのずと全国各地で「無電柱化モデル地区」ができていくはずです。
東京都下で無電柱化に熱心なのは豊島区で、巣鴨をそのモデル地区にしようとしています。そうして、地蔵通り商店街の観光客誘致を図ろうとする狙いがあります。
――豊島区の住民も無電柱化に熱心なのでしょうか。
住民はそうでもないと思いますよ。でも、急に住民の意識が変わる瞬間というのもありまして、たとえば埼玉の川越です。もともとは反対の住民が多かったのですが、無電柱化をきっかけに観光客が急増したので、今では自分で費用を出して電線を地中に埋める店もあるぐらいです。無電柱化によって、街の人気が向上すれば、地価も上がります。
――街が綺麗になるだけでなく、「得をする」という現実的なモチベーションを伴うならば、われわれ民間人も動きやすいです。
京都の先斗町でも、無電柱化を進めようとしています。観光客に喜んでもらえるような、昔ながらの景観の確保が目的です。
――ご著書の中で、先斗町ではなかなか無電柱化を進められないとお書きでしたね。
でも、やろうという方向になっています。あれだけ狭い道から電柱をなくすのですから、誰も文句は言わないですよね。すでに多くのガス管や水道管が地下で張り巡らされていて、権利関係もややこしいし、無電柱化は絶対に無理だと言われていたのですが、それでもやると。
また、小池都知事は現在、無電柱化を進める都内の自治体に助成金を出すと表明しています。環境大臣時代には「クールビズ」でネクタイを引っこ抜いたから、今度は電柱を引っこ抜くと言っていますし(笑)。
東京都は東京電力の大株主でもあるので、都知事ならば無電柱化を直接交渉できる余地があります。また、無電柱化の条例を作る自治体も、これからどんどんできていくでしょう。
――昨年、つくば市(茨城県)が制定していますね。
ええ、つくば市の条例は電柱の新設禁止を定めており、それに違反し、市からの勧告にも従わない業者があれば、名前を公表することにしています。国の法律と比較しても、かなり踏み込んだ内容です。そのほか、芦屋市(兵庫県)でも条例化の検討が行われています。
無電柱化の方法は、決してひとつではなく、多様な「メニュー」があるのです。お金をかけないやり方もあります。全国のあちこちで実験をして、妙案は真似し合えばいいのです。
日本の街から電柱が減っていけば、観光客が増えていくなどという直接的な関連性はないかもしれない。ただし、和の風景の中に「捨てられた」電柱や電線が、せっかくのフォトジェニックぶりを損なわせているのは確かだ。
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訪れた観光客一人ひとりが、様々な美しさや魅力を捉えた写真や動画を、思い思いにSNSでシェアすることで、日本の多彩な魅力が世界へ広がり浸透していく。その蓄積は、長い目で見れば外国人観光客の増加と、国際的な経済基盤の強化に結びつくだろう。