最新記事
シリーズ日本再発見

コロナ禍の日本、支持される商品には「理由」がある

2020年10月07日(水)11時05分
高野智宏

写真は本文と関係ありません whyframestudio-iStock.

<かつてないダメージを受けている日本経済だが、そんな中でも注目され、健闘している商品がある。「環境」「安価」「在宅」といったキーワードを軸にその理由を探った>

政府が約1.7兆円を計上した「Go To キャンペーン」事業など、各種の経済支援策が打ち出されている。

その一方、新型コロナウイルスに関連する倒産が全国で527件に到達する(帝国データバンク発表、9月15日現在)など、日本経済はかつてないほどのダメージを受けていると言っていいだろう。

しかし、そんな経済状況にあってなお、注目され、健闘している商品がある。それらの商品を見てみると、このコロナ禍ならではの「キーワード」が浮かび上がってくるのだ。

1つめのキーワードが「環境」だ。政府によるSDGs(持続可能な開発目標)達成に向けた啓蒙活動によりその認知が進むと同時に、この7月からはプレスチック製レジ袋の有料化が義務付けられるなど、一般にも環境保護意識が高まりつつある。そんななか「日本初」となる水が発売された。

日本初というのは、銘柄や成分の話ではない。水を販売するための容器、パッケージのことだ(持ち運びサイズにおいて)。現在、スーパーやコンビニ、自動販売機で販売される水の容器は、その多くがペットボトルだ。しかし、8月下旬より販売を開始した「ハバリーズ ジャパン ナチュラルウォーター」(330ml)のパッケージには紙パックが採用され、話題を呼んでいる。

japan20201007products-pic2.jpg

「ハバリーズ ジャパン ナチュラルウォーター」330ml 小売価格160円(税別/参考価格)。公式サイトの個人向け購入ページでは12本入り2074円で発売。毎月1回の定期購入なら5%オフで購入可能

製造・販売を手掛けるハバリーズ(京都市)がパッケージに紙を採用した理由も、環境保護への強い想いにほかならない。なかでもペットボトルをはじめプラスチックごみによる海洋汚染が、海の生態系に甚大な悪影響を及ぼしているのは、ニュースなどで広く知られているとおりだ。

再生可能資源である紙の中でも、世界の森林保全に貢献するため、国際的な森林管理協議会であるFSCの認証を取得した包材を使用。しかも、SDGsへの取り組みのひとつとして、売上1本につき1円が世界自然保護基金に寄付されるという。

自然の恵みである水を飲むことで、環境汚染防止に寄与し、自然保護に貢献することもできる。そんな水のエシカル消費が可能な「ハバリーズ ジャパン ナチュラルウォーター」は、公式サイトによる購入が可能であり、今後はナチュラルローソンなどの小売店でも販売が予定されている。

手に入れやすい価格は何より優先される要素

続いてのキーワードは「安価」。ボーナスの減額などコロナ禍で収入が減った消費者も少なくないなか、手に入れやすい価格は何より優先される要素であることは間違いない。しかもそれが生活必需品ではなく、嗜好品であればなおさらだろう。

この10月よりたばこ税の増税に伴い、全ての銘柄が値上げとなったたばこ業界において、いま注目が高まっている商品がある。いわゆる「リトルシガー」だ。一見すると通常の紙巻たばこだが、リトルシガーで使用される巻紙は、たばこ葉を原料として作られたもの。この巻紙でたばこ葉を巻いており、たばこ税法上は「葉巻たばこ」に分類される。

人気の理由は、キーワードのとおり、その安さだ。増税後の各メーカーの紙巻たばこの価格は、ほとんどの銘柄が500円以上となる。一方のリトルシガー、例えば、紙巻たばこの人気銘柄でもあるキャメルブランドの「キャメル・シガー」(JT)は400円。人気が出るのも当然と言えよう。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

タイのシリキット王太后が93歳で死去、王室に華やか

ワールド

トランプ米大統領、日韓などアジア歴訪 中国と「ディ

ビジネス

アングル:解体される「ほぼ新品」の航空機、エンジン

ワールド

アングル:汎用半導体、供給不足で価格高騰 AI向け
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...装いの「ある点」めぐってネット騒然
  • 2
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 3
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月29日、ハーバード大教授「休暇はXデーの前に」
  • 4
    為替は先が読みにくい?「ドル以外」に目を向けると…
  • 5
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 6
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 7
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 8
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 9
    【ムカつく、落ち込む】感情に振り回されず、気楽に…
  • 10
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 9
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 10
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中