ウィズコロナの教育は「オンラインでやればいい」では解決しない
偶然にもこの新型コロナウイルス蔓延の以前から準備していたのが、インターナショナルスクールのアオバジャパン・インターナショナルスクール(東京)を女子中高の敷地に誘致し、双方の教育を維持しながら、同時にお互いの生徒が刺激を与えあえる関係を築こうというプロジェクトである。
インターナショナルスクールに通わせる日本人家庭も増え、インターナショナルバカロレア(IB)という国際基準教育を導入する学校も増えてきている。であるが、日本の教育制度に則った学校と系列を異にするインターナショナルスクールが隣り合って教育するパッケージは日本で初めてなのである(同一法人が一つのキャンパス内にインターナショナルスクールと日本の学校教育制度に基づく学校を併設する例は、東京と大阪に1例ずつ存在する)。
両学校の生徒間の交流を盛んにし、IB校では重要なボランティア活動に本校で重視している周辺清掃活動を重ね合わせるとか、双方の生徒が取り組む課題解決型の探究活動を英語によって意見交換してほしいと考えている。
ちなみに日本のインターナショナルスクールの数は2005年データで117校、その生徒数2万人ほどである。インターナショナルスクールに通う日本人生徒は5000人弱いるようだ。このような立地をパッケージすることは、制限された生活の中でのグローバル教育維持の一つの手法ではないだろうか。
大学でも同様の例が昭和女子大学とテンプル大学の事例だろう。既に2019年秋からテンプル大学ジャパンは昭和女子大学の敷地の一部に移転を完了していて、まさに同じような仕組みである。
日本からもリモートで海外発信と交流を
今あるパッケージの中でグローバル教育を維持する方策はないものだろうか。どこの大学でもたくさんの国際プログラムを展開していて、交換留学生や留学生入試によって4年間学ぶ外国人学生など、多国籍の学生がキャンパスで学んでいた。そのほとんどがコロナによって帰国したり、新たな受け入れを中止している。海外に渡航していた日本人学生もそのほとんどを帰国させている。この秋からのプログラムも再開の見込みはない。
これを代替する手段は何だろうか。例えばチャットラウンジという少人数で近い世代の外国人と自由に会話できる空間を文京学院大学では運用しているが、それをオンラインチャットラウンジとしてリモートで英会話練習を始めている。
海外の提携先も予定していたプログラムのオンラインへの切り替えを提案してきている。カナダの提携大学はこの夏にリモートでの3週間英語研修プログラムを案内してくれている。英語圏の大学は非英語圏からの留学生や語学研修性が重要な財源でもあったので、それをつなぎ止めることに躍起だ。