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ニューズウィーク日本版編集部 From the Newsroom
情勢緊迫化でどうなる韓国経済
好調な韓国経済を北朝鮮が揺さぶっている。韓国が海軍哨戒艦の沈没を北朝鮮の魚雷攻撃によるものと断定し、これに反発した北朝鮮が強硬姿勢で対抗。朝鮮半島情勢が緊迫化を受けて、韓国の株価と通貨ウォンが急落している。
韓国総合株価指数(KOSPI)は5月25日、ギリシャの財政危機をきっかけにした金融不安に朝鮮半島情勢の緊張が加わったことで外国人投資家が資金を引き揚げ、前日比2・8%安の1560・83に下落。4カ月ぶりの安値をつけた。通貨ウォンも、25日のソウル市場の対ドル相場は1ドル=1250ウォンと前日から2・8%下がり、9カ月ぶりのウォン安に。
株価は翌日には機関投資家が買いに回ったことで1・4%値を戻したが、外国人投資家の資金の引き揚げは依然として続いている。ウォン相場の方も、急激なウォン安はおさまったものの、翌日も値下がりが続いた。
韓国は今年2010年、高い経済成長を見込んでいた。OECD(経済協力開発機構)は今年の韓国の成長予測を4・4%から5・8%へと修正したばかり(もちろん、この予測では北朝鮮との関係悪化は勘案されていない)。この成長率はOECDに加盟する31カ国中、トルコ(今年6・8%の成長予測)に次いで高いもので、加盟国平均の2・7%の2倍を超えている。
今後の情勢が韓国経済にどれだけの打撃を及ぼすのかは不透明だ。韓国企画財政部の尹增鉉(ユン・ジュンヒョン)長官は、「健全な財政と豊富な外貨準備によって韓国経済はどんな打撃も吸収できる。安全保障上の問題が経済に及ぼす影響は限定的だ」と、火消しに躍起だ。なにより心配なのは外資の流出で、政府に対して短期的な外資の動きを規制するよう求める意見も出ている。
なにしろ今年11月にはせっかくソウルに誘致した20カ国・地域(G20)首脳会議(金融サミット)の開催も控えている。できれば穏便に解決したいというのが李明博(イ・ミョンバク)大統領の本音ではないだろうか。
――編集部・知久敏之
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