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ニューズウィーク日本版編集部 From the Newsroom
『アイリス』も『推奴』も腹筋で勝負?
ちょっと前まで、「冬ソナ」で爆発した韓流ブームも下火になった、なんて声も聞かれたけど、そんなこと全然ない。BSでは各局、朝から晩まで放送してるし、最近は地上波でも朝10時台や午後2時~4時あたりに韓ドラを編成してきている(民放各局が夕方の時間帯にドラマの再放送ばかり流すようになったのは一体いつから? 制作費カットで海外ドラマを買ったほうが安上がりだから? ネット社会で視聴者離れ? どっちにしても、こうもリサイクルばかりだと、いい加減うんざりしてくる)。
そして遂に4月からはゴールデンにも進出だ。TBSが21日の水曜9時からイ・ビョンホン主演の『アイリス』をスタート。ゴールデンに韓国ドラマ、しかも1クールではなく6カ月だというから衝撃的だ(同ドラマに関しては、TBSが制作費を一部出しているらしい)。また、フジの木曜10時ドラマ『素直になれなくて』には、先日活動休止を発表した東方神起のジェジュンが準主役級でキャスティングされている。
こうしてみると、韓流はもう「ブーム」といった一過性のものではなく、コンテンツのひとつとして日本のお茶の間に「定着」したようだ。
そんな韓流を生み出すお隣の国、韓国の芸能界では最近、板チョコのように6つに割れた腹筋「6パック」が花盛りだ。韓国の俳優さんが「モムチャン(いい体)」ぞろいなのは、よく知られるところだが、近頃はそのモムチャン度、気合の入れようがスゴい。そして露出度もスゴい。
なかでもスゴかったのは、3月に終了したばかりの時代劇『推奴(チュノ)』。チャン・ヒョクやオ・ジホといった元々いい体をしてる主演俳優陣が、このドラマのためにさらに鍛え上げ、やたらと上半身はだかのシーンが多い。なんでも監督のイメージは映画『300』だったらしく、俳優たちは撮影現場にダンベルなどを持ち込んで競うように筋トレに励んでいたという。
アイドルも負けてない。「獣ドル」と呼ばれ昨年ブレイクした2PMからRain(ピ)プロデュースのMBLAQまで、どのグループも雄たけびをあげながらシャツを引きちぎったり、まくり上げるパフォーマンスが目立つ。
『推奴』は「筋肉効果」もあって、序盤から高視聴率を出し続けて終了した。ちなみに『アイリス』も、イ・ビョンホンが所々で見事な上半身を惜しみなく披露してるはず。
見る側としては、6パック(個人的には上腕二頭筋も)大歓迎だが、あまりに露骨に「狙ってる」のが感じられると、かえって萎えてしまいそうだ。まあ、他人の体をどうこう言う前に、だらしない我が身をなんとかしなくてはいけないのだけど......。
ちょっと余談になるが、韓流は中東のイランでも大人気だ。3年前にイランに行ったとき、泊めてもらった友人のママさんが、昼下がりにテレビにかじりついていた。何を見てるのかとのぞいてみたら、『宮廷女官チャングムの誓い』。街のニューススタンドには、チャングムを表紙にした雑誌が並ぶぐらいの人気だった。
『チャングム』の後は『朱蒙』が放送されて、これまた大ヒット。主演のソン・イルグクが昨年テヘランを訪問した際には、イランの韓流ファンに熱狂的な歓迎を受けたという。
同じ時代劇とはいえ、露出の多い『推奴』がイランで放送されることはまずないだろう。でも万が一、アハマディネジャド様がゴーサインを出してお茶の間に......、ママさんは韓国語を借りるなら「オモ、オモ、オモ」と言いながら両手で顔をおおってしまうことだろう。
──編集部・中村美鈴
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