中国はロシアに協力するふりをしつつ裏切るか──中央アジア争奪をめぐる暗闘
ただし、その一方でカザフ政府はウクライナ侵攻にしばしば否定的な反応を示してきた。
昨年9月、ルハンスク州やドネツク州などでロシア編入の賛否を問う住民投票が、両州を実効支配するロシアのテコ入れで行われ、賛成多数の結果が発表された。これを先進国は揃って批判したが、カザフ政府も住民投票そのものを認めないと表明した。
こうした反応は極めて稀だ。そこにはロシアの植民地主義的な態度への疑念があるとみてよい。
プーチン大統領は2014年8月、「カザフ人には国家がなかった」と発言した。要するに「18世紀のロシア帝国による編入がカザフ人に近代国家の観念をもたらした、だから現在の国境線にたいした意味はない」と言いたかったのだろう。
歴史的に正しいかどうかはさておき、この主旨をあえて強調すれば「場合によってはカザフの領土をロシアが取り戻すこともあり得る」となる。この論理が成立するなら、アフリカ大陸もイギリスやフランスのものにできる。
プーチンのこの主張はウクライナ侵攻に関してもよく聞く。プーチンはウクライナ国家の起源をロシア人入植に求め、「ウクライナという国はもともとなかった」、「歴史の誤りを正す」と侵攻を正当化してきた。
とすると、ウクライナ侵攻はカザフ政府にとって自国の領土や主権にも関わる問題といえる。カザフ政府は「西と東、グローバルノースとグローバルサウスとの架け橋になる」と強調しているが、これはロシアと一定の距離を保ちつつ、ロシアとの摩擦を必要以上に高めないためとみられる。
カザフほど鮮明ではなくとも、ウズベキスタンやキルギスタンも「懸念」を表明し、ウクライナ侵攻とは距離を置いている。
このように中央アジアには、国ごとに差があっても、ロシア以外の選択肢を視野に入れる機運があり、それはこの地に関心をもつ国にとって絶好のタイミングともいえる。
中国にとっての死活的重要性
第二に、中国から見た中央アジアがこれまでになく重要度を増していることだ。
この地はもともと中国にとって関心の高い地域だ。
中央アジアと接する中国の新疆ウイグル自治区には、中華人民共和国が建国を宣言した1949年以降、生産建設兵団という名の屯田兵が送り込まれた。その任務はこの地の開拓、少数民族の管理、そして当時ソ連の一部だった中央アジアとの国境警備にあった。
つまり、表面的なアピールとは裏腹に、中国は歴史的にソ連/ロシアへの警戒心を抱き続けてきた。それは今も基本的に同じで、中央アジアを取り込めれば、その向こうにあるロシアとの間に緩衝材を挟む効果が期待できる。
世界に混乱をもたらす「トランプ関税」をロシアが免れたワケ 2025.04.09
同盟国にも牙を剥くトランプ大統領が日本には甘い4つの理由 2025.03.07
「核兵器を使えばガザ戦争はすぐ終わる」は正しいか? 大戦末期の日本とガザが違う4つの理由 2024.08.15
パリ五輪と米大統領選の影で「ウ中接近」が進む理由 2024.07.30
-
週3在宅勤務/人事労務担当・リーダー候補 外資系企業の給与計算・社会保険/フレックス/年休124日
永峰・三島コンサルティング
- 東京都
- 年収400万円~700万円
- 正社員
-
東京/経理 買掛金等/世界トップクラスの包装資材&機械の外資系メーカー 残業10h・年休125日
シールドエアージャパン合同会社
- 東京都
- 年収525万円~630万円
- 正社員
-
港区/外資企業の総務・ファシリティ管理SV 英語力を活かして活躍 国内外大手2社の合弁会社
グローブシップ・ソデクソ・コーポレートサービス株式会社
- 東京都
- 年収450万円~500万円
- 正社員
-
港区/事務 大手外資企業内勤務/英語活かせる/22 翌7時勤務/土日祝休/年休124日
日本アスペクトコア株式会社
- 東京都
- 年収371万円~428万円
- 正社員