放送法「行政文書」問題が浮き彫りにする日本の封じ込め体質──内部告発は悪か
内部告発者を守らない日本
ただでさえ日本は国際的にみて内部告発者を守らない国だ。
日本の公益通報者保護法は、公的機関や民間企業の内部で行われている不正を、内部の努力で改善されない場合に告発することが権利として認められている。
ただし、内部告発者を実質的に保護する仕組みはない。
この法律では内部告発を理由とした解雇、派遣労働者契約の解除、その他の減給、降格といった不利な扱いは無効と定めているが、役所や企業の「犯人捜し」や報復人事を規制する罰則規定はない。
例えば、欧米の多くの国では内部告発者の減給・降格などが「報復人事でなかった」ことを、雇う側である役所・企業が証明しなければならない。逆に、日本では「報復人事だった」ことを雇われる側が自ら証明しなければならない。
韓国や中国でも、内部告発者に不利な人事を行った側に罰金・懲役などの刑罰が科される。
これらと比べて、日本では不正を告発した者が閑職に追いやられたり、離職を迫られたりすることが珍しくない。それは内部告発のコストとリスクを高め、ひいては問題があってもひたすら内部で隠蔽し続けようとする悪循環を生みやすい。
つまり、内部告発にブレーキをかけようとすることは、それ以外で明るみにならない問題を闇に葬りやすくする。
今回の疑惑に関していえば、この段階で内部告発そのものを疑問視することは、国際的にみても特異な、この国の封じ込め体質を助長するものといえる。玉木代表の言い方を多少もじっていえば、「ある場合には政治的意図を持って、'情報が封じ込められて'、我々が大きく振り回されてしまう」のだ。ここでいう「我々」とは、もちろん国民のことである。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
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