中国、2年ぶりのマイナス成長か
従って、鉱工業は4月のマイナス2.9%という落ち込みを相殺するぐらいのプラス成長を6月に記録し、第2四半期(4~6月)全体ではプラスマイナスゼロぐらいまで回復すると見込んでいる。しかし、サービス業は6月には前年比ゼロ%ぐらいまで回復するとしても、4、5月の落ち込みを取り戻すには至らない。これらを勘案すると、中国の2022年第2四半期(4~6月)のGDP成長率はマイナス2%程度になると予想される(表1参照)。もしマイナス成長ということになれば、中国が最初にコロナ禍に襲われた2020年第1四半期(1~3月)のマイナス6.8%以来の2年ぶりのマイナス成長となる。
思い起こせば、2020年1~3月がマイナス成長になったのは致し方なかった。なにしろ突然未知のウイルスが武漢に広まり、大勢の人々が亡くなったからだ。当時はワクチンはもちろん、有効な治療薬もなく、医者のなかにも感染して亡くなる人がいた。感染拡大を防ぐには、とにかく都市を封鎖して、人と人との接触を断ち切るしかなかった。
だが、それから2年以上経過し、このウイルスについての知見が大いに深まった。世界でワクチンや治療薬の研究開発が急速に進み、新型コロナウイルス感染症は以前ほど恐れるべき病気ではなくなった。
必要なかった「ロックダウン関連死」
そのことをデータで示すと、2020年1月から4月末まで武漢では5万333人が新型コロナウイルスに感染したことが確認され、3869人が亡くなった。つまり、致死率7.7%という恐ろしい病気であった。一方、2022年2月26日から6月28日の間、上海市では5万8137人の感染が確認され、588人が亡くなった。致死率が1.0%なので、もちろん「ただの風邪」といって済ませられるほど軽い病気ではないが、果たして2か月にわたるロックダウンを必要とするほど重大な事態だったのか疑問に思う人は多いであろう。
ちなみに、同じ期間に、東京都では61万7647人の感染が確認され、うち637人が亡くなった。致死率は0.1%で上海の10分の1だったが、感染者数は上海の11倍だった。
YouTubeには上海でロックダウンが行われている期間、「食べ物が手に入らない!このままでは飢え死にする!」と住宅団地の窓から叫んでいる人の映像が掲載されている。餓死者が出たというのは噂の域を出ないとしても、ロックダウンのために病院に行けずに亡くなったとか、外出できず精神の病が悪化したり、失業して将来を悲観したりして自殺した等のことはありそうである。そうした「ロックダウン関連死」を数えたら、ロックダウンのせいでかえって亡くなった人が増えたという本末転倒のことになっていたかもしれない。
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