自転車シェアリング、バブル破裂後の着地点
その先鞭をつけたのが広州市である。広州市もご多分に漏れず80万台のシェア自転車が街にばらまかれていたが、2019年4月に、広州市中心部の6区(総面積1559㎢で、西多摩郡と八王子市を除く東京都ぐらいの面積がある)に配置するシェア自転車の総台数を40万台とし、それを運営する事業者3社を入札によって選ぶことを発表した。6月末にはモバイク、アリペイ系のハローバイク(哈囉出行)、滴滴出行が運営するディーディーバイク(青橘単車)の3社が選ばれた。
また、最近では利用料金も引き上げられ、北京ではハローバイクは15分で1元、モバイクは最初の15分は1元で、その後15分を経過するごとに0.5元となった。
これまではofoのようにとにかく数多くばらまき、料金を安くしてユーザーを増やすことが競争に勝つ道だと信じられてきた。しかし、業者自身で管理できないほど自転車が多くなりすぎ、街中に故障して使えない自転車があふれ、ユーザー離れを招く一因となった。業者が無理なく事業を続けられる料金水準のもとで、各業者が自転車のメンテナンスや配置の工夫を通じて自転車の利用率を競う方向に誘導できれば理想的である。広州市の規制は量的競争から質的競争への転換を促す試みであり、もしこれが成功すれば、自転車シェアリングを民間の力で運営するモデルになるだろう。
東京では配達に使われている
話変わって、東京の都心10区がドコモ・バイクシェアに委託して運営している自転車シェアリングは相変わらず役に立たないが、最近利用者が少し増えてきたようだ。誰が利用しているのかというと、Uber Eatsでお料理の配達をしている人たちである。ドコモ・バイクシェアの自転車は電動アシスト車なので、配達の体力負担を低減するし、配達需要の多い都心部に配置されているので好都合だというのは理解できる。しかし、区の予算で運営されているものが、民間事業者の輸送手段として利用されることが適切だとは思えない。区議会などで問題にならないのだろうか。
モバイクを買収した美団点評も「美団外売」という配達サービスが事業の柱の一つである。だが、美団外売の配達員たちは専用の電動バイクを持っていて、モバイクの自転車を利用したりはしていない。
民間会社の事業である中国の自転車シェアリングは都市の公共交通を補完する役割を果たしており、それゆえに地方政府もこれをつぶさずになんとか軟着陸させようとしている。一方、東京の10区が費用を負担している自転車シェアリングは公共的な役割を大して果たせぬまま、民間の営利事業に役立てられている。
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