コラム

企業のサイバーセキュリティに不可欠な「アタックサーフェス」の特定...API、サブドメインなどの脆弱性評価を

2024年05月22日(水)18時50分

現代のサイバーセキュリティでは次のようなプロセスが必要になることを覚えておくべきだろう。

・発見:自組織の包括的なIT資産の発見と分類
・評価:アタックサーフェス(攻撃の対象となる脆弱性)の評価
・分析:ビジネスへの影響とリスクに基づいて脆弱性に優先順位をつける
・修復:脆弱性を修復し、結果を検証する

「偵察」でアタックサーフェスを特定し、脆弱性を評価する

サイバーセキュリティにおける重要な要素には、「偵察」の役割がある。偵察によって、標的となりかねないシステムやネットワークにある潜在的なアタックサーフェスを特定することができる。企業などのシステムの、アクセス可能なデータの調査、オープン・ポートやサービスのチェック、社内のスタッフや運用手順の学習など、さまざまな方法による情報収集が含まれる。

偵察と合わせて重要になるのが、脆弱性評価だ。企業にある脆弱性を評価することで、アタックサーフェスを評価し、優先順位を付けて効果的に修復する。このプロセスによって、潜在的なリスクを軽減するためにリソースを効率的に割り当てることができる。

そしてドメインから広がるサブドメインも攻撃対象になりやすいので、きちんと特定して管理することが大事だ。企業や組織のドメインから派生するサブドメイン(個別のURL群)までを特定してリスト化して、そこにアタックサーフェスがないかを調べる必要がある。

包括的な資産の発見と継続的な脆弱性評価を行えば、私たちは常に進化しているアタックサーフェスを常に認識できる。私たちの資産と脆弱性を完全に理解し、脆弱性を分析して、対応の優先順位を決める。そうすることでサイバー攻撃対応におけるリソースを効果的に配分し、最も重要な脆弱性から対処することができ、全体的なサイバーリスクを低減できるわけだ。

脆弱性に迅速に対処し、パッチ(修正)を適用することで、脆弱性が悪用されることでビジネスが中断する可能性を最小限に抑えることが可能になる。

言うまでもなく、現在、多くの企業や組織は、デジタル化が進んだシステムに依存しており、その流れはこれからも続くことになるが、そのシステムを守れるかどうかはビジネスの根幹を左右することになる。本気で対応することが、ビジネスを守ることに直結する。

まとめると、脆弱性管理は継続的なプロセスであり、継続的な注意と献身が必要である。脆弱性管理の基本をマスターすることで、潜在的な弱点を積極的に特定し対処することができ、最終的にサイバーリスク軽減の取り組みを強化し、攻撃対象領域を保護することができるのだ。

サイバーセキュリティの導入は現在、どんな組織にとっても不可欠になっているが、いまだに日本ではサイバーセキュリティにかける予算が少ないと感じている。企業関係者などはこうした監視・対象ソリューションの導入も真剣に検討すべきだろう。さもないと、内部の脆弱性に気が付かないまま脅威にさらされることになるからだ。

ニューズウィーク日本版 トランプの帝国
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年2月10号(2月3日発売)は「トランプの帝国」特集。南北アメリカの完全支配を狙う新戦略は中国の覇権を許し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


プロフィール

クマル・リテシュ

Kumar Ritesh イギリスのMI6(秘密情報部)で、サイバーインテリジェンスと対テロ部門の責任者として、サイバー戦の最前線で勤務。IBM研究所やコンサル会社PwCを経て、世界最大の鉱業会社BHPのサイバーセキュリティ最高責任者(CISO)を歴任。現在は、シンガポールに拠点を置くサイバーセキュリティ会社CYFIRMA(サイファーマ)の創設者兼CEOで、日本(東京都千代田区)、APAC(アジア太平洋)、EMEA(欧州・中東・アフリカ)、アメリカでビジネスを展開している。公共部門と民間部門の両方で深いサイバーセキュリティの専門知識をもち、日本のサイバーセキュリティ環境の強化を目標のひとつに掲げている。
twitter.com/riteshcyber

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、金価格下落で安全資産買い 

ビジネス

再送-ウォーシュ氏のFRB資産圧縮論、利下げ志向と

ビジネス

米財務省、第1四半期借り入れ額見通しは5740億ド

ビジネス

米国株式市場=反発、ダウ515ドル高 半導体・小型
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗り物から「勝手に退出」する客の映像にSNS批判殺到
  • 2
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れるアメリカ」に向き合う「日本の戦略」とは?
  • 3
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 4
    中国政府に転んだ「反逆のアーティスト」艾未未の正体
  • 5
    関節が弱ると人生も鈍る...健康長寿は「自重筋トレ」…
  • 6
    エプスタイン文書追加公開...ラトニック商務長官、ケ…
  • 7
    世界初、太陽光だけで走る完全自己充電バイク...イタ…
  • 8
    トランプ不信から中国に接近した欧州外交の誤算
  • 9
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 10
    共和党の牙城が崩れた? テキサス州で民主党が数十…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 7
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 8
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story