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「日本の技術は最前線にいる」と専門家...CO2を「回収・貯留・有効利用」するCCUS技術に環境団体は反発も
wasanajai/Shutterstock
<COP28で脱化石燃料への道筋として明記されたCCUS。その実情を英オックスフォード大学のマイルズ・アレン教授に聞く>
[ドバイ発]アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開かれた国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)は会期を1日延長した13日、「2050年までにネットゼロ(実質排出ゼロ)を実現するのに重要なこの10年に公正かつ公平で秩序だった形で化石燃料から脱却する」と合意して幕を閉じた。世界はネットゼロに向けエネルギー転換の道筋を描いた。
「脱化石燃料」を明記したCOP28合意にはその道筋が列挙されている。
・30年までに再生可能エネルギー発電容量を3倍、エネルギー効率の改善率を世界平均で毎年2倍にする。
・排出削減対策を講じていない石炭火力発電を段階的に削減する努力を加速する。
・21世紀半ばまでにゼロ・低炭素エネルギーを利用した排出ゼロのエネルギーシステムに向け努力を加速する。
・再エネ、原子力、特に削減が難しいセクターではCCUS(二酸化炭素回収・有効利用・貯留)のような削減・除去技術、低炭素水素を加速する。
・30年までにメタンを含む二酸化炭素以外の温室効果ガスを削減する。
・ゼロ・低排出車やインフラを急速に普及させることで道路交通の排出量の削減を加速する。
・非効率な化石燃料補助金を段階的に削減する。
環境団体から反発が出ているのが「CCUS」と「原子力」が明記されたことだ。国際的シンクタンク、グローバルCCS(二酸化炭素回収・貯留)インスティテュートの調査によると、CCSプロジェクトは世界で急増。現在稼働中の41カ所のCCSの二酸化炭素回収能力は年間4900万トン。26カ所が建設中で、325カ所がさまざまな開発段階にある。
米国が優勢で、英国、カナダ、中国も施設数を増やす。しかし自然エネルギーを促進する自然エネルギー財団(孫正義会長)は「CCS への過剰な依存を進めるエネルギー政策がもたらすのは日本の脱炭素化の失敗だ。日本は不完全な CCS の実施に多額のコストの支出を強いられ、回収・貯留できなかった二酸化炭素排出権の対価の支払いを求められる」と釘を刺す。
しかし大気中の炭素回収を提唱する英オックスフォード大学のマイルズ・アレン教授(地質システム科学)は「化石燃料の使用を減らし、安全で恒久的な二酸化炭素の処理を拡大しなければならない。二酸化炭素をすべて地下に回収することで人類は2100年以降も化石燃料を使い続けることになる」と話す。
COP28の日本パビリオンではCCUS技術に携わる三菱重工グループがその仕組みを説明していた。CCUSにおける二酸化炭素のバリューチェーンを「とる」「つなぐ」「つかう」の3つの枠組みに整理し、「とる」ではすでに世界で13基の商用機納入実績がある。COP28会場でアレン教授にCCS/CCUSについてインタビューした。