コラム

「クレムリンの殺し屋」プーチンに相応しい最期は近付いている...MI6などが分析

2022年07月23日(土)17時10分

中国の情報収集システムは「ブラックボックスだ」

中国の脅威について、米連邦捜査局(FBI)のクリストファー・レイ長官と英情報局保安部(MI5)のケン・マッカラム長官が7月6日、「われわれの経済や安全保障にとって長期的な最大の脅威」(レイ氏)と警告した。イギリスの航空専門家は中国の情報機関とつながりを持つ企業から「魅力的な就職」を持ちかけられ、軍用機情報の提供を求められたという。

ムーア氏も「中国がもたらす脅威について、政府や社会全体が認識を深めている。私の場合、中国がもたらす脅威に対して情報の上流から取り組んでいるが、中国との貿易であれ、気候変動であれ、かなり不透明なシステムだ。どのように組織化し、どのような戦術的意図を持ち、どのような能力を構築しているのか、ブラックボックスだ」と強い懸念を示した。

中国はロシアのウクライナ侵攻に対する西側の対応について台湾侵攻の教訓としてどう見ているかについてムーア氏は「それを語るのは時期尚早だ。しかし私たちがこの冬を乗り切ることが非常に重要だ。中国の習近平国家主席はタカのように目を凝らして見ている。彼は西側の弱点について非常に凝り固まった考え方を持っている」と指摘した。

元NATO軍最高司令官のジェイムズ・スタヴリディス氏らが戦争を念頭に書いた共著『2034 米中戦争』に関し、ムーア氏は「戦争が不可避だとは思わない。台湾海峡の両側で違いを平和裏に解決しようという意志がある。習主席が台湾で何をするかしないかを計算する時に、誤った判断で侵略しないよう明確にメッセージを送る方法を見つける必要がある」と言う。

プーチン氏の血生臭い人生を追跡してきた『キラー・イン・ザ・クレムリン(クレムリンの殺し屋)』の著者で元BBC記者のジョン・スウィーニー氏はCIAやMI6とは異なりプーチン氏を苦しめる可能性のある病気としてがんのリンパ節転移や血液がん、肝臓がんを挙げ、「プーチン氏はステロイドを過剰摂取しており、この世を去るのはそう遠くない」と予測する。

220723kmr_kik02.jpg

『キラー・イン・ザ・クレムリン(クレムリンの殺し屋)』を出版したジョン・スウィーニー氏(筆者撮影)

「プーチン氏は病気だ。将軍がプーチン氏を殺すかもしれない。オリガルヒ(新興財閥)が毒を盛るかもしれない。プーチン氏はそのまま目を覚まさないかもしれない。私好みのシェークスピア的なエンディングはプーチン氏自らが毒を飲んで自分の人生を終わらせるというものだ」とスウィーニー氏は語る。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、イランと取引に応じる用意 「テロ放棄が

ワールド

トランプ氏、17日にゼレンスキー氏と会談 ワーキン

ビジネス

JPモルガン、最大100億ドル投資へ 米安保に不可

ワールド

イスラエル首相、ガザ巡るエジプト会合に出席せず
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:中国EVと未来戦争
特集:中国EVと未来戦争
2025年10月14日号(10/ 7発売)

バッテリーやセンサーなど電気自動車の技術で今や世界をリードする中国が、戦争でもアメリカに勝つ日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由とは?
  • 3
    車道を一人「さまよう男児」、発見した運転手の「勇敢な行動」の一部始終...「ヒーロー」とネット称賛
  • 4
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃を…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    筋肉が目覚める「6つの動作」とは?...スピードを制…
  • 7
    連立離脱の公明党が高市自民党に感じた「かつてない…
  • 8
    1歳の息子の様子が「何かおかしい...」 母親が動画を…
  • 9
    ウィリアムとキャサリン、結婚前の「最高すぎる関係…
  • 10
    あなたの言葉遣い、「AI語」になっていませんか?...…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル賞の部門はどれ?
  • 4
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 9
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 10
    トイレ練習中の2歳の娘が「被疑者」に...検察官の女…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
  • 10
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story