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アストラゼネカ製ワクチンの公費接種、日本でもようやく承認 もっと早く認めていれば有観客の五輪もできたはずだが
ウイルスや細菌が体内に侵入した場合、抗体がつくられ、病原体を攻撃して感染を防ぐ。自分の体に対して抗体はつくられないが、誤って健康な組織を攻撃する自己抗体ができることがある。コロナに感染すると、この自己抗体ができて、「ブレイン・フォグ」と呼ばれる記憶力や集中力の低下、呼吸困難など深刻なコロナ後遺症の原因になることが分かっている。
ファイザー製もAZ製もコロナウイルスの遺伝子コードを注射して人間の体内でコロナウイルスのスパイク(突起部)タンパク質をつくり免疫反応を誘発する。AZ製ではその過程でごくまれに自己抗体ができ、血小板減少を伴う血栓症の原因になることが報告されている。MHRAの報告書にはAZ製の血小板減少を伴う血栓症について詳しく書かれている。
それによると7月14日までにAZ製ワクチンを接種された2470万人のうち血小板減少を伴う血栓症は411人から報告され、71人が死亡している。このため、ワクチン・予防接種合同委員会(JCVI)は18~39歳についてはAZ製以外の代替ワクチンを打つよう勧告している。
MHRAの報告書にはなぜかファイザー、モデルナ製の血小板減少を伴う血栓症については全く記載されていない。AZ製の副反応に注目が集まったため、集計する際にバイアスがかかったのか、それともファイザー、モデルナ製は頻度が低かったせいなのか、理由は公にはされていない。
ちなみに接種後に死亡した人は全体でファイザー製460人(2千万人接種)、AZ製999人(2470万人接種)、モデルナ製7人(130万人接種)だ。
リスクとベネフィットを秤にかける
英イングランド公衆衛生庁とケンブリッジ大学のモデルを使った分析によると、ワクチン接種により640万~790万人の感染と2万6千~2万8千人の死亡を防ぐことができたという。言うまでもなく100%安全な医療もワクチンも存在しない。年齢だけでなく、それぞれの地域の感染状況、ワクチンの供給状況によってリスクの評価も変わってくる。
そのため私たち一人ひとりがリスクとベネフィットを真剣に考える必要がある。
AZ製ワクチンを開発したオックスフォード大学のセーラ・ギルバート教授とキャサリン・グリーン准教授は『ワクチン派 オックスフォード・アストラゼネカワクチンのインサイドストーリー ウイルスとの競争』を出版した。その中でグリーン准教授はこんなエピソードを紹介している。
昨年8月、ウェールズの最高峰スノードニアで休暇中にグリーン准教授はワクチン懐疑派と出くわす。「水銀や有毒化学物質などワクチンの中に何が入っているのか分からない。私はワクチンをつくった人たちを信用しない」という疑問を突き付けられたグリーン准教授はワクチンの成分を一から説明する。もちろんAZ製ワクチンには水銀は入っていない。