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日本はもう「タケヤリ」とド根性を貫くしかない──コロナ対策を妨げる政治の阻害要因とは
コロナ封じ込めに成功したベトナム、台湾、中国、シンガポール、ニュージーランド、香港、オーストラリア、韓国に比べると日本のコロナ対策は確かに見劣りする。しかし上を見ればキリがない。日本の総人口に占める高齢者(65歳以上)の人口割合は28.7%(3617万人)に達しているので、デジタル化がなかなか進められなかったという事情も大きい。
日本の知人からは「5時間コンピューターの前に座って、コロナワクチン接種の予約を取った」「3日かけてもまだ予約できない人もいる」という悲鳴が聞こえてくる。予約が取れなかった人からかかりつけ医に問い合わせが殺到し、医療現場にも混乱をきたしている。
ロンドンでコロナ対策を取材してきた筆者は、それだけワクチンを打ってほしいと願う人が多いなら、日本の問題はほぼ解消されたと考える。ワクチンは開発するよりも打ってもらう方が難しい。日本国内には「私は打ちません」と公言する学者が少なからずいて心配したが、最大のハードルである心の問題はこれで解消されたも同然だ。
あとはワクチンの安定供給を確保し、スピーディーに接種を展開していくだけだ。
コロナを巡っても利権
日本政府は米ファイザー、モデルナ、ノババックス、英アストラゼネカのコロナワクチン4種計5億6400万回分を購入する契約を結ぶ。欧州連合(EU)の資料では日本にはEU域内の生産拠点から7200万回分がすでに輸出されている。厚生労働省はモデルナとアストラのワクチンについて5月20日の専門部会で承認の可否を判断すると伝えられている。
アストラも承認後、分科会で接種対象が決まればすぐに展開できるよう日本国内での出荷態勢を整えている。日本国内ではファイザー推しの自民党議員が「ファイザーのワクチンがあれば十分」と他社の承認を遅らせるよう圧力をかけてきたが、早くワクチンを打ってという世論に押され、最近、他社のワクチンの承認も急ぐよう態度を改めたという業界の内輪話も筆者の耳に入ってきた。
日本を徹底的にダメにしてきたのは利権が絡んだ政治の阻害要因だ。これまで散々「医療崩壊」を口にし、政府に圧力をかけてきた日本医師会の中川俊男会長がコロナの「まん延防止等重点措置」が東京都に発令されているにもかかわらず、都内で開かれた自民党議員の政治資金パーティーに参加していたのはその象徴である。