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ワクチン陰謀論の標的にされるビル・ゲイツ氏
途上国へのワクチン普及を支援する、マイクロソフト創業者ビル・ゲイツ(2019年11月、北京の国際会議で) Jason Lee-REUTERS
[ロンドン発]新型コロナウイルスの感染者が660万人、死者が39万人を超える中、最貧国へワクチンを供給する「グローバル・ワクチン・サミット」が4日、オンラインで開かれ、32カ国、12の財団・企業・機関から目標の74億ドルを上回る88億ドル(約9600億円)を調達した。
ホスト国のボリス・ジョンソン英首相は「コロナを打ち負かすワクチンを見つけるため世界の決意を新たにしよう」と宣言。英オックスフォード大学と共同で新型コロナウイルスワクチンを開発する英製薬大手アストラゼネカは英米への供給とは別に3億回分の供給を約束した。
一方では、パンデミックによるワクチン供給網の寸断や移動制限、外出自粛で1歳未満の子供8000万人への予防接種が中断される懸念が膨らんでいる。サミットは、国際連携団体GAVIアライアンス(ワクチンと予防接種のための世界同盟)を通じて2025年末までに最貧国の子供3億人以上に予防接種を行い、700万~800万人の命を救う計画だ。
サミットには、英政府の主催で35カ国の国家元首を含む52カ国の代表、世界保健機関(WHO)、製薬企業、市民団体のリーダーが参加。これに対して国境なき医師団(MSF)はワクチンの公平な分配のため製薬企業から高額ワクチンを買うのではなく原価販売を促すべきだと訴えてきた。
国際協力でワクチン価格が低下
だがこれまで、GAVIアライアンスの努力で5種混合ワクチンや肺炎球菌、ロタウイルスのワクチン価格は2015年から2018年にかけ21%も下がった。新たにインド血清研究所が肺炎球菌ワクチンの供給に加わり、毎年1000万回分を高所得国の公定価格の1.5%未満のわずか2ドルで提供することになった。
新型コロナウイルスワクチンの開発は加速し、9月供給を目指すオックスフォード大学・アストラゼネカのワクチンを含む10種類が臨床試験入り。さらに114種の研究・開発が進められる。中国では5種類の臨床試験が行われており、年内に少なくとも1種の供給が可能という。
オックスフォード大学・アストラゼネカが第2・3相試験に入ったのは、弱毒化したアデノウイルスをベクター(運び屋)に用いた新型コロナウイルスの突起部の遺伝子をエンコードして免疫を引き起こすウイルスベクターワクチン。
アストラゼネカは英米に4億回分、中・低所得国への10億回分を含む20億回分の製造を目指す。このほか世界中で核酸をベースにしたmRNAワクチン、不活化ワクチンが開発中だ。1月9日に中国疾病予防管理センター(CDC)がゲノムを解析してからわずか5カ月というスピードだ。