コラム

カールに続いてチョコフレークも...お菓子の定番商品が売れなくなっているのはナゼ?

2018年11月13日(火)14時30分

実は生産量が拡大しているお菓子市場(写真はイメージ) Kwangmoozaa-iStock

<販売不振の理由は、単に「スマホとの相性が悪い」だけじゃない? なかには売り上げを伸ばしているお菓子も...>

森永製菓が50年以上のロングセラー商品である「森永チョコフレーク」の生産終了を決定した。理由は販売不振で、嗜好の多様化やスマホとの相性の悪さなどが背景にあるとされている。昨年は明治が国民的な商品「カール」の東日本での販売を終了している。ロングセラーの定番商品が売れなくなっている背景について探った。

チョコフレークとカールはスマホとの相性が悪い?

森永製菓は2018年9月、千葉県と山梨県にある生産拠点を閉鎖し、他の生産拠点に製造を移管する再編プランを発表した。これに伴って千葉の生産拠点で製造していた「チョコフレーク」の生産を2019年の夏までに終了するという。

チョコフレークは1967年に販売を開始した同社のロングセラー商品である。現在は袋入りがメインとなっているが、発売当初は特徴的な四角形の箱入りだったので、年配の人はおそらくそちらのイメージが強いだろう。一時は、CMでチョコフレークに牛乳をかけて食べるという食べ方が宣伝されていたことを考えると、シリアル的な商品としても売られていたことが分かる。
 
チョコフレーク生産終了のニュースが伝わるとSNSなどではこれを惜しむ声が相次いだ。

生産中止の直接的な理由は販売不振で、ここ数年、チョコフレークは販売数量が大きく落ち込んでいた。設備を更新するための利益を捻出できるメドが立たなくなったことから工場の閉鎖を決定した。

多くのメディアでは、販売不振の主な理由として、食べる時に手が汚れることを若い世代の消費者が敬遠した結果と分析している。手がベタベタするとスマホを操作しずらいので、近年はこうした菓子類が好まれなくなっているという。

昨年は、明治が定番商品であったカールの東日本での販売中止を決定している。カールもチョコフレークとほぼ同じ1968年に販売を開始したロングセラー商品である。麦わら帽子で首にタオルを巻く「カールおじさん」は商品キャラクターとして絶大な人気を誇っていた。

カールも手がべたつく商品なので、スマホとの相性が悪い。だがカールの販売数量がピークだったのは1990年代であり、その後、数量の減少が続いた結果としての販売中止なので、スマホが原因というほど単純な図式ではなさそうだ。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ大統領、中南米に空母派遣へ 軍事プレゼンス

ワールド

米朝首脳会談の実現呼びかけ、韓国統一相、関係改善期

ワールド

ロシア特使が訪米を確認、「対話継続を示す証拠」

ワールド

レーガン氏の自由貿易擁護演説が脚光、米カナダ間の新
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...装いの「ある点」めぐってネット騒然
  • 2
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月29日、ハーバード大教授「休暇はXデーの前に」
  • 3
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 4
    為替は先が読みにくい?「ドル以外」に目を向けると…
  • 5
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 6
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    【ムカつく、落ち込む】感情に振り回されず、気楽に…
  • 9
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 9
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 10
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story