コラム

金利上昇で住宅ローンが危ない! 収支ギリギリの人は要注意

2018年10月16日(火)13時30分

他の分野と同様、住宅ローン金利も量的緩和策によって空前の低水準が続いてきた。新築マンションの価格は原材料価格や人件費の高騰から年々上昇しているが、それでも多くの人がマンションを買えていたのは、超低金利によってローン返済総額が減っていたからである。

だが、このところの金利上昇を受けて、いよいよ住宅ローン金利にも見直しの動きが広がっている。例えば三井住友銀行の15年固定金利は、今年の7月までは1.5%だったが10月時点では1.57%に上昇している。

これから住宅を買う人にとってはあくまで予算の話ということになるが、問題はすでにローンを組んでしまった人である。特に変動金利型のローンを組んでいる人は、返済額が大幅に増えるリスクがあるので注意が必要だ。

住宅ローンには大きく分けて固定金利型と変動金利型の2種類がある。

固定金利型の場合は、契約した時の金利が返済まで適用されるので、金利が上昇しても返済額が増えることはない。しかし変動金利型の商品は、金利が上昇した場合、その分だけ返済額が増えるので、金利次第では予想以上に返済額が増加する。収支ギリギリで住宅ローンを組んでいる人は、最悪の場合、返済不能という事態もありえるだろう。

固定期間選択型は意外とリスクが大きい

かつては銀行が提供する住宅ローンの多くが固定金利型だった。だが、マンション価格の高騰から返済負担を軽くしたいと考える利用者が増えたことや、金利上昇を銀行が警戒しているもあり、最近ではほとんどの商品が変動金利型となっている。

変動金利型の場合、金利上昇が利用者の生活を直撃しないよう、たいていの商品には緩和措置が組み込まれている。この条項があれば、仮に金利が上昇しても毎月の返済額は5年間据え置かれ、5年が経過した後も最大で25%しか上昇しない。しかし、この緩和措置によって不足した返済分は免除されるわけではなく、ローン終了時点で一括返済を求められるケースが多い。結局のところ、金利の上昇分はいつか埋め合わせをしなければならない。

特に注意が必要なのは、一定期間は固定金利で、その後、変動金利に移行するタイプの商品(固定期間選択型)である。

固定期間選択型の多くは、変動金利型のような緩和措置が付帯しておらず、固定期間が終了した時には、金利上昇分がそのまま返済額の増加につながってしまう。固定期間が終了した時点で大幅に金利が上昇していた場合に、返済額が一気に増加することもあり得るのだ。

固定期間選択型は、固定金利と変動金利の折衷プランに見えるのでリスクが低いと思っている人が多いが、見方によっては変動金利型よりもはるかにリスクの高い商品である。どちらのパターンにせよ、固定金利以外のローンを組んでいる人は、今後の金利動向によっては繰り上げ返済などを検討した方がよいかもしれない。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

EU首脳、米中との競争にらみ対策協議 競争力維持へ

ビジネス

トランプ政権、対中テック規制を棚上げ 米中首脳会談

ビジネス

仏サノフィ、ハドソンCEOを解任 後任に独メルクの

ビジネス

英GDP、第4四半期は前期比0.1%増 通年は1.
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トランプには追い風
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 5
    一体なぜ? 中国でハリー・ポッターの「あの悪役」が…
  • 6
    【独自取材】「氷上のシルクロード」を目指す中国、…
  • 7
    あなたの隣に「軍事用ヒト型ロボット」が来る日
  • 8
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 9
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 10
    まさに「灯台下暗し」...九州大学の研究チームが「大…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 6
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 7
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 10
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story