いざなぎ景気を超える好景気と言われるのに、実感が湧かない理由
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<「失われた20年」の間の日本の損失は大きい。日本が年収......当然のこと>
2017年7~9月期のGDP(国内総生産)は7四半期連続でプラス成長となり、メディアの見出しには「いざなぎ景気超え!」といった勇ましいタイトルが並ぶ。だが好景気という実感が湧かないという声を耳にすることも多い。本当に日本経済は好景気なのだろうか、仮にそうだとして経済統計と生活実感の乖離はなぜ生じるのだろうか。
「いざなぎ景気超え」はあくまで長さ
先日、朝日新聞が主要企業に対して行ったアンケート調査は、現在の経済状況を色濃く反映している。景気が拡大していると回答した企業は9割に達したが、「景気拡大を実感できるかと」との質問に対しては半数弱の企業が「実感と合わない」と回答している。これは企業に対するアンケートだが、消費者に対する調査でも結果はほぼ同じだろう。
「景気拡大」「いざなぎ景気超え」といったメディアの報道は、たいていの場合、内閣府の月例経済報告がベースになっている。内閣府では毎月、各種の経済指標を総合した景気動向指数を公表しているが、これが上昇傾向にあれば景気は拡大していると判断される。だが、ここで議論されるのは主に景気拡大の「長さ」であって「程度」ではない。
戦後有数の好景気であった「いざなぎ景気」は、1965年10月から1970年7月まで57カ月間継続した。現在の好景気は2012年11月から継続しており、今年の9月時点において58カ月間継続した。「いざなぎ景気超え」というのは、この部分が根拠となっている。
しかしながら、オイルショック前の日本経済と今の日本経済で、成長率そのものに大きな違いがあるのは当然のことである。1965年から1970年にかけての実質GDP成長率は単純平均で約10%だが、2012年から2017年については、2017年が2%を超えると仮定してもせいぜい1.3%程度である。
消費者は、基本的に前年より稼ぎが増えたか、あるいは使えるお金が増えたかという部分で景況感を判断するものだし、こうした考え方はGDP統計の本質にも合致している。所得が増えていないのであれば景気が拡大していないと考えるのは、至極まっとうなことといえる。景気拡大の長さばかり強調するのはあまり意味がないといってよいだろう。
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