コラム

ビットコインが一時50万円を突破! 投機かそうでないか判断のポイントは?

2017年09月12日(火)12時30分

価格が上昇すると普及しにくくなるというジレンマ

ちなみにビットコインは金本位制に近いシステムとなっており、発行できるコインの数には上限がある。新規のコインは年間ごくわずかしか発行されないため、そもそも仕組みとして減価しにくい。一方、コインを大量に発行できないため、流通の拡大についてはいろいろと制約が出てくる。

つまりビットコインは簡単には減価しない通貨である代わりに、価格が上昇しやすく、そうであるが故に普及が容易ではないというジレンマがある。

すでにその傾向は顕著となっているが、価格があまりにも高くなりすぎると、少額決済における利便性が著しく低下してくる。例えばビットコイン価格が40万円だった場合、ビットコインで2000円の商品を買おうとすると0.005ビットコインを支払う必要があるが、買い物や送金の現場を考えるとゼロが多すぎて不便だ。

あくまで仮定の話だがビットコインの単位表記を変えて、見かけ上の金額を小さくすれば、普及が加速し、価格が安定に向かう可能性もある。

通貨の価値というものは、その通貨圏の経済規模がどの程度になるのかという点に大きく依存しており、ここがはっきりしない限り、正しい価値判断はできない。ビットコインは現在、発展途上であり、現時点において価格がバブルなのか判断することは困難である。

ビットコインは、これまでにない特徴を持ったユニークな通貨であり、多くの可能性を秘めている。投機なのか、投機でないのかといった単純かされた議論ではなく、こうした動きも含めて、事態の推移をしっかり見極めることが重要である。その中で投機目的で市場に参加したい人は、自己責任で参加すればよいし、危険だと思う人は、手を出さなければよい。ビットコインはどのような存在なのか、いずれ答は出てくるはずだ。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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