「怒れる中間層」が復権させる社会主義は、今度こそ機能するのか
その可能性は増えてきた。日米とも財源が問題にされるが、日本では家計金融資産がこの3年、年間平均43兆円増えている。企業保有の現金・預金は266兆円もあるので、これらを消費・投資に向けないとGDPは縮小する一方だろう。従って、国債を発行して余剰資金を吸収、社会保障や公共工事を通じて経済に還流し、需要を喚起する現在の政策は継続可能だ(ただし、一定の縛りをかけなければ予算は野放図に膨らんでしまう)。
アメリカでも、GDPの約20%とされる金融業の内部留保を中間層以下に還流する仕組みをつくれば、格差是正と景気刺激の両面で効果を発揮する。
もう1つ以前と違うのは、ロボットの多用で生産力が飛躍的に増大する時代にあるということだ。つまり、低所得層に政府が資金を配分して格差を是正しても、生産量が増えるため消費拡大が悪性インフレを呼ぶ時代ではなくなる。社会主義と言うよりも、市場経済下での社会的公正度の向上が以前よりも可能になってきたのだ。
<本誌2019年12月17日号掲載>
12月10日号(12月3日発売)は「仮想通貨ウォーズ」特集。ビットコイン、リブラ、デジタル人民元......三つ巴の覇権争いを制するのは誰か? 仮想通貨バブルの崩壊後その信用力や規制がどう変わったかを探り、経済の未来を決する頂上決戦の行方を占う。
「またトラ」でウクライナ停戦が成立すれば、北朝鮮兵が平和維持軍に? 2024.11.12
中国経済が失速しても世界経済の底は抜けない 2024.10.22
「焦げたアンパンマン」? 石破首相はワルになれ! 2024.10.08
強権政治家、故フジモリ大統領を礼賛した日本社会のリーダー像 2024.09.26
テレグラムCEOドゥロフは、国境を突き破るIT巨人 2024.09.06
日本にキレるロシアには大人の対応を 2024.08.24
米経済の立て直しには「根本治療」が必要だ 2024.08.01