韓国における「公正」とは?...公共放送KBSの受信料騒動が浮き彫りにした、韓国社会の分断
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<韓国でも報道は公正かつ客観的でなければならないと定められているが、日本における「公正」とは意味が異なる。今回の騒動が突き付けた、公共放送のあり方について>
日本の放送法は放送事業者に「公平」であることを求めている。同様の規定は韓国にもある。韓国の放送法は第6条で「放送による報道は公正かつ客観的でなければならない」と定めている。
このような放送の公平や公正が特に高い水準で求められるのは、公共放送においてである。
公共放送に関わる韓国のシステムは複雑であり、政府所有特別法人である韓国放送公社(KBS)と韓国教育放送公社(EBS)、政府が出資する特殊法人を最大株主とする文化放送(MBC)の3つが存在する。
政府所有の特別法人であるKBSとEBSには受信料収入があり、政府に間接的に支配される株式会社のMBCにはこれがなく、広告収入を主な財源とする。
しかし、韓国の公共放送が日本と大きく異なるのは、法的な在り方よりも社会的立場である。背景には、2003年に成立した進歩派の盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権以来の「言論改革」をめぐる議論が存在する。
盧は当時の韓国の言論状況は保守勢力に支配され、ゆがめられた状況にあると批判して、改革を主張した。同政権はその手段の1つとして、自らが支配権を持つ公共放送への人事権を利用し、結果、公共放送において進歩派が主導権を持つ体制が確立された。
だが状況は保守派の李明博(イ・ミョンバク)が大統領に就くと逆転する。李は公共放送の報道を進歩派に大きく傾くものとして批判し、KBSの社長を解任、MBCの社長も交代に追い込んだ。進歩派が影響力を持つ両社の労働組合はこれに反発、大規模なストライキも展開された。
そして同じことが、進歩派の文在寅(ムン・ジェイン)が政権に就くと、攻守を変える形でそのまま行われた。大統領の地位から弾劾された朴槿恵(パク・クネ)に任命されたKBS、MBCの社長の辞職を求めて労働組合が圧力をかけ、彼らもやはり任期半ばにて解任された。
韓国では「公正イコール正義」
そして今、22年に成立した保守派の尹錫悦(ユン・ソギョル)政権が、両社の社長や理事長に圧力をかける事態が生まれている。
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