韓国「変則的な大統領制」の欠陥がもたらす奇妙な選挙制度
この状態では、尹は自らの望む法案や予算案を通すのが難しいのみならず、自らの政府を構成する内閣を組むことすら難しい。何故なら、韓国における組閣にはまず国務総理を任命する必要があり、国務総理の任命には国会の同意を取り付ける必要があるからだ。
もちろん、この様な状況は韓国の憲法上の規定から生まれるものだから、歴代政権においても見られなかった訳ではない。その様な場合に歴代大統領が用いて来たのは、就任から早い段階での自らの高い支持率を利用して、国会にて抵抗する野党に対して「(大統領への支持を見せる)国民の意志に反して行動している」というレッテルを貼り、国政停滞の責任を押し付けることである。
こうして野党を抑えつけるとともに、その支持率を低下させ、来るべき国会議員選挙における与党勝利の基盤を作る、という訳である。
とはいえ、尹にはそれも難しい。大統領選挙での彼の勝利は得票率差にして僅か0.7%という薄氷のものであり、現与党支持者の忌避感は強い。大統領選挙での出口調査によれば、有権者の多くは投票先を選んだ理由として、「投票した候補者への支持」よりも「投票しなかった候補者への嫌悪」を選んでおり、現与党への支持者がそう簡単に尹支持へと移るとは思えない。
尹自身も当選後、現与党や文政権への歩み寄りはなく対決姿勢を強めており、進歩派と保守派に大きく二分されるこの国で新大統領を中心とする「国民和解」への兆しは見られない。
だが、それなら尹に希望は全くないか、と言えばそうではない。
大統領選挙と国会議員選挙のタイミングがずれているこの国では、地方選挙のタイミングもまたずれているからである。
日本とは異なり、仮に首長や議員が欠けて補欠選挙が行われた場合にも、その選挙で選ばれた新首長や議員の任期を前任者の残任期間とする事が定められているこの国では、4年に1回大規模な、文字通りの「全国地方同時選挙」が行われる。
そして、そのタイミングもまた、民主化を経て地方自治がこの国に再導入された時の地方自治選挙、より正確には日本の都道府県や政令指定都市に当たる「広域自治体」の議会選挙が、たまたま1991年6月に行われたことを起点としている。
そこから4年に1度、ソウルや京畿道といった巨大自治体を含めた全ての知事・市長・地方議会選挙が一斉に行われる。辞職や欠員による任期の変更がない以上、そのタイミングが変わることはない。だからこそ、「全国地方同時選挙」もまた国会議員選挙と同じく、任期の異なる大統領選挙との間で接近と離合を繰り返す事になる。
つまり、「全国地方同時選挙」は大統領選挙や国会議員選挙と並ぶ「全国選挙」であり、その勝敗によって各党派は自らへの国民の支持の大小を測り、相手側に誇ることができる。
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